いまの日本の生活者は、もはや私たちが知っている日本人の姿ではありません。多少大袈裟に言えば、それぐらい認識を新たにしなければこの地殻変動の最中に広告やマーケティングを成功させることはできないでしょう。この連載では、様々な切り口でデータなどを用いて生活者パラダイムの転換についてご紹介してきました。この最終回では、そのような激流にさらされている今日のマーケティング担当者が、どう対処すべきかということについて考えたいと思います。

自社の製品やサービスの顧客像を明らかにしようと、さまざまなマーケティング調査やビッグデータ分析などを実施しているものの、実はあまりピンときていないという人も少なくないのではないでしょうか。数字やデータを把握することはもちろん必要条件ではありますが、十分ではありません。無味乾燥な情報や知識をいくら突き付けられても、私たちをがんじがらめにしている先入観や思いこみはそう簡単には揺らぎません。それを打ち破るためには、肌で感じるリアルな体験が必要となります。

そのような体験を与えてくれる最も身近な存在は、実はあなたの会社の後輩、あるいは新入社員たちに他なりません。彼らから謙虚に学ぶ姿勢こそが、現代の生活者を理解する最も有効かつ現実的な手段となります。日本社会では、昔から先輩に学ぶということを大切にしてきました。もちろん今もこれからもその大切さが変わることはありません。ただ、一方で今の時代に先輩の経験値だけを万能視するという考え方には無理があるというのも事実です。変化のスピードが速まるにつれて、語学やIT、最新の流行など、分野によっては後輩から学ぶべきことの方が多くて当然だといえます。

「子どもは未来からの留学生」という言葉がありますが、「後輩社員は未来からのトレーナー」だと言えます。そして、その後輩はもしかしたら外国人かもしれないし、LGBTかもしれません。いずれにしても、多様で個性的な生活者の一員であり、彼らとの付き合いから学べることは数限りないはずです。(連載おわり)

(文化通信 2016年1月25日号掲載)

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