銀行、証券、保険3業態を「金融業界」と定義している。
この業界におけるホットイシューは、低金利の継続による構造的な収益構造の悪化と、ブロックチェーン技術/仮想通貨の拡大による代替機能の拡大である。この状態はかつての取引代理業としての商社が衰退し、自己資本による事業投資会社として生まれ変わった時に似ている。
もう一つのホットイシューは、AI/RPAの導入である。これまでの勘定系のシステムおよび店舗業務は、取引や現金取り扱いの精度を担保するための工数や機能を必要としていたが、これらを根本的になくす/代替するテクノロジーとしてAIやセンシングが導入され、結果、事務処理のみならず金融商品の開発やディール(取引)まで、AIや機械に代替されようとしている。
その結果起こっていることが、人員の大規模な再整理/再配置と店舗網の統廃合であり、また既存収益源と異なるフィー型収益などをいかに実現するかという取り組みである。
「スマート××」と銘打たれていないため、あまり表層化していないように感じられるが、最もデジタルトランスフォーメーションの影響を受けている業界の一つと言える。
事業再編、事業戦略
地銀は、地方経済の地盤低下によって、これまで各地域「内」での金融3事業の展開から、他地域そして海外に向けた投融資や、第4の収益源の創造などに取り組み始めている。
しかし、多くの地銀は中小・零細企業に対する経営助言や紹介程度にとどまっており、VCはハンズオン型事業投資のように企業成長や収益変革に対して踏み込めていなかった。これらの事業戦略と施策設計、また施策実行のインフラ提供をすることでこれまで課題であったが着手できていなかった地域中小企業による収益増を実現するスキームを構築。国内各地において展開を進めている。
現在、都市銀行を中心に銀行・証券の店舗統合や業務統合が進み、また銀行の店舗を縮小し路面から2階に移転するなどの施策を講じている。
それに起因するのが、人員の大規模な再整理/再配置と店舗網の統廃合である。
これらによる、預託者側のブランド既存(近隣から店舗がなくなる/見なくなる、担当が次々やめる)などによって、ブランドロイヤルティが棄損するリスクをいかにヘッジするか、その影響範囲の推計と対応策検討設計を行った。