日本人の平均年間所得金額は、いくらかご存知でしょうか。2013年の国民生活基礎調査によれば、537万2千円だそうです。ピークだった1994年には664万2千円だったのですが、その頃と比べると随分減ってしまいました。これでは生活者の消費意欲がなかなか高まらないのも、無理からぬことかもしれません。

ところで、企業がマーケティング戦略を立てる際、所得水準という軸で分析を行うときには注意しなければならない点があります。それは日本の所得分布が平均を中心とした分布にはなっておらず、高所得者と低所得者の二極化が進んでいるという点です。

図: 所得階層構成比の推移

文化通信_生活者パラダイムの転換④

 

図は、所得階層を下位層(300万円以下)、中下位層(300万円超、600万円以下)、中上位層(600万円超、1000万円以下)、上位層(1000万円超)という四つのグループに分け、その構成比の年次推移を示したグラフです。これを見ると、下位層と中下位層の合計で8割を超えており、圧倒的多数を占めているということがわかります。つまり、所得水準が平均レベルかそれを下回る層こそが、今の日本市場におけるボリュームゾーンだということです。

さらに、2004年から2013年までの各層の増減を見ると、下位層のみが3.5ポイント増加しており、他の3グループは全て同水準、あるいは減少しているということが読み取れます。他のグループと比べてこの下位層は、あらゆる製品・サービスのカテゴリーにおいて消費行動が大きく異なると考えられ、平均的なマス層を狙った万人向けのマーケティングとは異なるアプローチが求められます。

このような視点で見れば、消費財カテゴリーにおける低価格のプライベートブランドや、自動車カテゴリーにおける軽自動車のシェア拡大というのは必然的なトレンドであるということがわかります。二極化する市場においては、低価格かプレミアム(付加価値型)かなど、自社の製品やサービスのポジションを明確にすることが不可欠となります。もはや日本は、かつてのような一億総中流社会ではないのです。

(文化通信 2015年5月25日号掲載)

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