昨年、「人口減少によって896の自治体が消滅する」という衝撃的な内容の論文が発表され、話題になりました。元総務大臣の増田寛也氏による、いわゆる「増田レポート」です。

自治体が消滅するというのは、一体どういうことなのでしょうか。増田氏による定義の詳細は前掲書に譲りますが、おおまかに言えば「20~39歳の女性層」が2040年までに5割以上減少すると推計された自治体を「消滅可能性都市」としています。生まれてくる子供の95%がこの層の出産によるものだということを考えれば、それなりに説得力のある論理だと言えるでしょう。

グラフ: 「20~39歳の女性人口」の増減率で分類した市区町村の構成比

文化通信_生活者パラダイムの転換⑤

 

このままでは、全国の自治体の約半数となる896もの都市が2040年には消滅してしまう…。そのような事態を避けるために、現在、行政では様々な政策的議論がなされていますが、実はこの問題に対してマーケティングによってアプローチすることも可能だと私は考えています。もしもマーケティングによって、生活者が地方を訪れたくなるような新しい価値を作り出すことができれば、地方創生という社会的な課題を解決に導ける可能性があるのです。

その一例として、14年度の日本マーケティング大賞を受賞した「道の駅」の事例をご紹介したいと思います。道の駅は、一般道路の休憩施設として約20年前に103の施設でスタートし、現在では1059駅にまで拡大しています。施設内で物販や飲食なども提供しており、年間売上高はなんと約2100億円。運営主体は自治体や第3セクター、地元の生産者組合などさまざまで、国や中央組織が一元管理している訳ではありません。「休憩」「情報提供」「地域連携」の三つの基本機能を共通フレームとして、あとはそれぞれの地域の創意工夫に委ねられています。ある駅では地元の特産品をブランド化したり、ある駅では地元の一大イベントを企画したり、それぞれ知恵を出すことによって来客を促進し、売上を伸ばしているのです。

日本の各地方にはまだまだ隠された魅力がたくさんあるはずです。マーケティングによって、その魅力をより一層引き出すことができれば、地方消滅を食い止めることができるかもしれません。

(文化通信 2015年6月22日号掲載)

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