いま、日本の生活者の姿が様変わりしています。これまで私たち日本人は、おおよそ同じような価値観を持ち、同じような幸せのイメージを共有してきました。テレビCMなどの広告で描かれる生活者の姿も、両親と子供2人の4人家族が食卓を囲む様子など、無意識のうちにそのような認識に基づいて描かれているものが多く見受けられました。しかし、このようなかつてのイメージから実態が大きくかけ離れてきているのが、いまの日本なのです。

例えば、いまや60代以上の世帯が日本全体の消費における最大のセグメントであり、消費金額ベースでおよそ半分を占めます。このセグメントは少子高齢化で人口が多いということに加え、購買力が高い世帯が多いという特徴があります。3泊4日で1人あたり40万円超もするJR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」にシニア層からの応募が殺到しているというのは、彼らの購買力を示す代表的な事例と言えるでしょう。今後はあらゆる業界において、この層をターゲットとしたマーケティングが不可欠となります。

また、世帯構成については、2010年の国勢調査によれば一人暮らし世帯が32%と、夫婦のみ世帯(20%)や夫婦と子の世帯(28%)を上回って最も高い割合となっています。つまり、もはや日本の多数派は一人暮らし世帯なのです。これから食品や日用品については、4人家族などを前提とした分量ではなく、一人暮らし用に小分けパッケージをメインにして販売するのが効果的でしょう。

このように、企業が商品開発やマーケティング、あるいは広告制作を行うにあたって、過去の先入観から抜け出し、生活者の実態を把握しておくことは極めて重要です。同様に、メディア企業の方々が視聴者や読者の正しいイメージを持っておくことも、これからのコンテンツ作りには欠かせないはずです。

この連載では、このような生活者パラダイムの転換について、トピックごとにさまざまな数字やデータに基づいて解説していきたいと思います。

(文化通信 2015年2月16日号掲載)

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