<第3回>経営戦略としてのブランド ― ブランドは模倣困難

  • ブランド構築

ブランド学者の原田将氏は著書の『ブランド管理論』(白桃書房)の中で、情報という経営資源であるブランドには二つの特徴があると述べています。

第一の特徴は、「蓄積性」です。すぐに消費されてしまいがちなモノやカネなどの資源とは異なり、情報資源であるブランドは長い年月をかけて蓄積されていきます。例えばシャンプーや自動車などは、通常、ある程度のサイクルでリニューアルやモデルチェンジが行われます。しかし、リニューアルされて中身が変わっても、ブランドは変わらないことが多いです。

このことは、まったく新しい名前で新製品を出すよりも、長年の価値が蓄積されたブランド資産をうまく活用した方が得策だという各社のビジネス上の判断を如実に示しています。

第二の特徴は、「多重利用可能性」です。ブランドは何度使用しても、基本的に減少することはありません。ある製品で顧客からの信用を獲得することができれば、それを他の製品やサービスに転用することが可能となります。家電メーカーによる映画・音楽などの娯楽サービスへの進出、自動車メーカーによる金融サービスへの進出など、ブランドをてこにしたダイナミックな事業の多角化が行われるケースは多いです。

このように、製品ラインナップの拡張や新規事業立ち上げの際、ブランド資産を活用して失敗のリスクを著しく軽減することができるのです。

さらに原田氏は、これらの二つの特徴がもたらす強みが「模倣困難性」であると指摘しています。生産技術やビジネスモデルなどのノウハウは、資金力にものを言わせれば模倣するのが比較的容易だといえます。一方、過去からの蓄積が価値の源泉となっているブランドは作るのに時間がかかり、模倣するのが困難です。

ブランドは基本的にオンリーワンの存在であるため、ライバル企業の真似をしようと思えばM&A(企業の合併・買収)でブランドを丸ごと買うしかありません。しかし、一般的に優良ブランドであればあるほど、競合他社からの買収に応じる可能性は限りなく低いでしょう。だからこそブランドは模倣困難であり、競争相手との強力な差別化ポイントになり得るのです。



(文化通信 2014年4月21日号掲載)
※本連載は文化通信に寄稿した内容を転載しております。


関連ソリューション

ブランド提供価値規定およびブランディング

自社や自社事業のブランドを定め、社内外に自社や事業、製品の認知・理解を獲得したい。また経営方針や事業活動における向かうべき方向を定め、修正する拠り所としたい。

企業ブランドコンセプトの体現を事業活動にて実現したい。CSV・PURPOSE経営の実践

企業ブランド、もしくは事業ブランドにおける提供価値を、社内へのコミュニケーションおよび事業活動として実現したい。

WITHコロナ時代の新しい企業と従業員の関係構築のありかた ~業界別・年代別に見る従業員の意識変化とは~

WITHコロナ時代の新しい企業と従業員の関係構築のありかた ~業界別・年代別に見る従業員の意識変化とは~

顧客視点(CX)と従業員視点(EX)の複眼で策定する企業の危機突破シナリオ

顧客視点(CX)と従業員視点(EX)の複眼で策定する企業の危機突破シナリオ

World's Best Bankの成功例に見るDX実現~顧客体験価値を向上させるUI/UX〜

World's Best Bankの成功例に見るDX実現~顧客体験価値を向上させるUI/UX〜

顧客データ利活用実態レポート ~顧客データの自社活用から情報銀行・PDS事業化への各社方針~

顧客データ利活用実態レポート ~顧客データの自社活用から情報銀行・PDS事業化への各社方針~

社会貢献と事業成長は両立できるのか? ~社会課題の解決を通して新市場を開拓する3つのステップ~

社会貢献と事業成長は両立できるのか? ~社会課題の解決を通して新市場を開拓する3つのステップ~

お問い合わせ