<第9回>経営戦略としてのブランド ― CMOはブランドの番人

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ブランド力の向上が経営上の重要課題の一つとなったことに伴って、米国では多くの企業でCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)という役職が設置されるようになりました。ただ、CEO(最高経営責任者)やCFO(最高財務責任者)という役職名は知っていても、CMOというのは聞いたことがないという人も多いのではないでしょうか。日本語では「最高マーケティング責任者」と訳されることが多いようですが、一般にはまだあまり浸透していないのが現状です。

米国では主要企業の40%以上がCMOを設置しているのに対して、日本は大企業に限定しても5%未満に留まると言われています。この日米の差の背景には、経営戦略としてのブランドあるいはマーケティングの重要性に対する認識不足があると考えられます。

では、具体的にCMOとはどのような役職なのでしょうか。一橋大学大学院教授の神岡太郎氏の著書『CMOマーケティング最高責任者』(ダイヤモンド社)によれば、CMOには五つの役割があります。

第一に「マーケティング部門・現場への役割」で、部門ごとにばらばらになりがちなマーケティング活動を、全社最適化の視点で統合すること。第二に「経営への役割」で、不明瞭になりがちなマーケティングの費用対効果を明確化し、経営者が投資判断を行うために必要な情報を整備すること。第三に「他部門への役割」で、マーケティング部門と開発や人事、IT部門などとの連携を強化すること。

第四に「社員への役割」で、これはこの連載の第6回で触れたインターナルブランディングのことです。第五に「社外への役割」で、広告会社やコンサルティング会社などマーケティングやブランディング領域の協力機関とのパートナーシップを強化することです。

現状の日本では、これらの役割は別々の部門がばらばらに担っていることが多く、それによってブランドとしての一貫性が保てていないケースがよく見受けられます。これを解決するためには、CMOのように企業全体の経営戦略の視点でブランドマネジメントを司る「ブランドの番人」の存在が不可欠なのです。

(文化通信 2014年10月20日号掲載)
※本連載は文化通信に寄稿した内容を転載しております。


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