ASEAN市場攻略のためのエスニシティ(民族)視点からのマーケティングアプローチ

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中国市場の成長が鈍化傾向にある中で、ASEAN市場に対する日本企業の注目はますます高まっています。みずほ総合研究所のレポートによると、中国経済の成長率は徐々に低下し、2020年代半ばには4~5%に低下する一方で、ASEAN経済は今後も5%前後の安定的な成長が見込まれると予測されています。

ASEAN市場は、様々な特徴を持つ市場の複合体です。シンガポールのように、所得水準は日本以上に高く、高齢化も進んでいる成熟国もあれば、インドネシアやフィリピンのように、所得水準は低いものの、当面は人口ボーナス期(若年層の人口が多く、今後も人口の自然増が見込まれる期間)にある市場まで多種多様です。

博報堂コンサルティングでは、2013年にシンガポールオフィスを立ち上げて以来、日本企業のASEAN市場におけるマーケティング・ブランド戦略構築を支援してまいりました。その中で、特に日本企業がASEAN市場に注目している理由として、以下の3点が挙げられます。

1)所得水準の上昇による中間層及び富裕層の拡大
2)日本文化や日本製品に対する受容度の高さ
3)文化的な多様性のある市場としてのユニークさ

既にご説明した通り、ASEAN市場は成長市場として高く期待されています。今後もインドネシアとフィリピンを中心として、中間所得層の人口は増加し続けることが予想され、加えて、経済成長の恩恵を受ける富裕層市場も急成長しており、各国の主要都市では高級ブランドショップが立ち並ぶショッピングモールが増えています。

また、ASEAN市場における多くの国で親日家が多いことも、日本企業にとっては取り組みやすいと思われる要因です。博報堂が毎年行っているGlobal HABIT調査でも、日本製品のイメージは「高品質」「定評」「先端技術」などの点で、米国製、欧州製、中国製、韓国製と比べて圧倒的に高い評価を得ています。

上記2点については既に馴染みの点だと思いますが、これに加えて、最近注目されているのは3)のポイントです。典型的な例は、生活価値観や食習慣に大きく影響を与える宗教の多様性です。タイ、ベトナムでは仏教が8割以上を占める一方、インドネシアの約9割がイスラム教であり、フィリピンでは9割以上がキリスト教です。シンガポールとマレーシアには仏教、イスラム教、キリスト教、ヒンズー教がそれぞれ5%以上存在するマルチ宗教国家です。人種の面で見ても、中華系、インド系などが各国に存在しており、経済的な面でも多大な影響力を持っています。

これが意味することは2つあります。1つはASEAN市場が、これからの世界の二大市場となる中国とインド(さらにイスラム教が中心の中東諸国も)のテストマーケティングの場として有効な場であること。2つ目は、中国とインドを攻略するためのマーケティング人材が豊富に揃っており、2つの巨大市場を俯瞰しながら、アジア市場におけるマーケティング戦略を評価・検討できるという点です。

このような認識から、今年の3月に、「エスニシティ(民族)」の違いを比較するためのオリジナル調査を実施し、ASEANに広く存在する中華系生活者の意識や実態を、中国本土、香港、台湾と比較しながら俯瞰していきました。この結果を活用し、5月15日のセミナーにて日本企業のASEAN市場におけるマーケティング戦略に対するご提言をさせていただきます。ASEAN市場における事業戦略立案や商品開発などに携わられている皆様のご参加をお待ちしています。



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