アフターコロナ時代の成長戦略
~企業における未曽有の危機突破と再始動に向けたファンファーレ~
新型コロナウィルスの感染拡大による緊急事態宣言が全国的に解除された。しかしかつての日常は戻らず、われわれは新たな日常に向けて進むことになる。
足元ではすでに新たな生活様式や価値観の萌芽が見られ、企業も新たな環境への適応と進化が求められている。このような状況の中、未来に向けた戦略を立て、自己変革の壁を突破するには、どうすればよいのか。アフターコロナにおいても不可逆的に定着する、顧客や従業員の意識や行動とはどのようなものなのだろうか。
<レポート概要>
アフターコロナにおいて、不可逆な変化が起きているといわれる状況の中、これからの顧客体験(CX)と従業員体験(EX)はどうなるのか?戦略と、その実行の担い手である従業員に対し、具体的な打ち手を模索している企業経営者・マーケターへ向けて、顧客(CX)と企業内部・インナー(EX)の2軸による未来シナリオから、自粛から前へ動き出す為の積極的な「危機突破策と打ち手」の方向性を示す。
顧客視点(CX)と従業員視点(EX)の複眼で策定する 企業の危機突破シナリオ
Chapter2. 生活者の意識・行動変化
Chapter3. 従業員の意識・行動変化
Chapter4. WITH/AFTERで起こるシナリオ
Chapter5. 提言―アフターコロナ時代における成長戦略
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<レポートサマリー>
STAY HOME がもたらした不可逆の変化「NEW NORMAL」は、顧客だけではなく従業員にも
2020年、オールデジタル化社会と世界的パンデミックの同時進行が、未曽有の環境変化と経済危機をもたらしている。特に、国家レベルの緊急事態がデジタル主導の社会を強制的に普遍化し、これ以降の新しい生活様式や価値観を形づくることは必至である。企業経営においても、ビジネスモデルやワークスタイルのプロセス・働き方・経営意思決定のすべてで順応と進化を余儀なくされる。これを踏まえると、企業は今こそ、アフターコロナにおいてどう成長すべきかを考えねばならない。それは視点を変えれば、これまで先送りを繰り返していた経営変革を起動させる絶好のチャンスの到来とも言える。
変革のための事業戦略を考えるにあたっては、アフターコロナにおいても定着する“不可逆な変化”がもたらす将来環境を考察する必要がある。では、その“不可逆な変化”によって定着する「NEW NORMAL」とは一体どのようなものなのか。顧客のみならず従業員の意識や行動はどのように変化したのか。
当社では、顧客体験(CX)と従業員体験(EX)における意識変化や行動変化につき独自の調査を行い、そこから、その変化がもたらす以下のような未来シナリオを描いた(図1)。
(図1)未来シナリオ
調査から導く4つの未来シナリオ
この未来シナリオは、4象限で構成されている。これは、「自分たちがどの方向に向かうのか」という戦略を考えるための、未来についての4つの方向性である。
縦軸は顧客の購買行動(CX)についての軸だ。「生活者主導の購買環境進展」の方向性では、顧客は例えばインターネットで商品情報を調べた上で購入するのが当たり前になり、情報リテラシーの高い、いわゆる“賢い消費者”が増え、購買を主導していく。対する「企業主導での購買環境創造」では、例えばこれを機にDX(デジタルトランスフォーメーション)を一気に進めるなど、購買行動の変化を企業側が主体となって推し進めていく。
一方、横軸は企業と従業員(EX)についての軸だ。「従業員の自立促進」では、働き方改革やリモートワークの推進なども含め、企業の持つ機能の中の、何をどのように満たすのかを、従業員自らが選び取っていく。これに対して「組織の結束強化」では、企業側が従業員との関係性を強化するための機能や施策を整備していくことになる。
このように、未来シナリオを描く上で重要なポイントとなるのは、顧客体験(CX)と従業員体験(EX)の2軸である。
以下に、この2軸を導き出した根拠となる、今回の調査結果から読み取れる具体的な傾向の一部をご紹介する。
<顧客の意識・行動変化> 買い物圏は近場かオンラインへ 増える“賢い消費者”
コロナによる外出自粛の結果、購買チャネルのオンラインへの移行が加速している。特に家電や服飾、化粧品などは、コロナを機にオンラインショッピングを経験した人のうち約20%~30%が、今後はオンラインショッピングに切り替えると回答している。従来はカウンセリングの必要性などから店舗での購入が多かった化粧品や家具までもが、今後、一定数はオフラインに戻らないことになる。さらに特徴的なのは、60代や70代といった高齢者層にもこのような意向があることである(図2)。
(図2)調査結果:オンラインショッピングへの切り替え意向
また、外出に対する意識の変化から、買い物行動も変化した。まず、①買い物圏が狭小化した。長距離移動の自粛がきっかけで「徒歩圏」の範囲を見直す動きが起こり、その結果、そこで新たな発見や新たな繋がりができるという現象が起きている。また、②複数店舗の買い回りを避けるようになり、いわゆるウインドウショッピングのような「とりあえず店舗に行って何かないか探す」という行動はなくなる傾向にある。店舗に行く時は、ある程度買いたいもののカテゴリーなどを決めて出かけ、あちこちの店を見て回るという行動は大幅に減ると考えらえる。さらに、そのためには③事前に情報収集を行い、事前検討を行ってから買い物に行くようになった。事前に調べて当をつけてから、検討候補のロングリストを作ったり、本命商品に対する第2・第3希望を決めたりして、それらをどう評価しようかある程度検討した上で買い物に行くのである(図3)。
(図3):調査結果:買い物行動の変化
このように、顧客の意識・行動においては、買い物圏の変化と共に、事前の情報収集やオンラインショッピングの活用など、買い物行動を効率化するという意識が向上し、“賢い消費者”が増加する傾向が見られた。既存の購買プロセスが変わらないままこの傾向が加速していくと、前述の「生活者主導の購買環境が進展」することになる。
<従業員の意識・行動変化> 価値観の変化により企業評価は二極化。会社と個人の新たな距離感
従業員における大きな変化は、さまざまな「分断」が起きていることである。
まず、従業員から見て「信頼できる企業であるかどうか」の判断が大きく分かれている。コロナ前後での自社に対する気持ちや考え方の変化を見ると、自社の事業が社会的に意義のあることなのか、という企業姿勢や社会的意義を重視する傾向が強まっている。一方で、企業のトップの対応やメッセージに対する信頼は減少しており、これまで以上にトップの考え方への関心が高まっている傾向も見られる。このような価値観の変化から、従業員の企業に対する評価が二分しているのである(図4)。
(図4):調査結果:アフターコロナで変わる従業員の意識・価値観
また、リモートワークの広がりとともに、個人と企業・チームとの分断も進んでいる。この分断は、物理的な距離の分断だけではなく、互いの考えていることをますます見えにくいものにしている。その結果、「組織との一体感がなくなった」と感じたり、「組織への執着がなくなりつつある」と感じたりするなど、著しい帰属意識の低下を招いている(図5)。
(図5)調査結果:「画面の向こう」の帰属意識低下
新たな働き方としてリモートワークが定着しつつある中、ワークライフバランスや、企業に所属する意味をどのように作り上げていくか。自立した「個」である従業員と企業との、新しい関係性を見据えた働き方のデザインが求められているのである。そしてその中で、自分らしい働き方に開眼した従業員が主体的に行動するようになった場合は、前述の「従業員の自立促進」の方向性となり、逆に企業の社会的存在意義やトップの考え方に対する信頼が得られれば「組織の結束強化」の方向性となる。
2軸から見る自社の向かう方向性とは
これらから見えてきた2つの軸、顧客体験(CX)と従業員体験(EX)の未来シナリオから4つのシナリオが想定される。それぞれは、各企業における顧客像と従業員(組織)像から、自社が向かうべき方向性をしめしている。
開催されるセミナーにおいて、これら調査結果の詳細を共有するとともに、向かう未来シナリオと立ち向かう戦略を示したい。
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顧客視点(CX)と従業員視点(EX)の複眼で策定する企業の危機突破シナリオ
※本レポートは限定配布となります。レポートご希望お申込みにつきまして、博報堂および博報堂DY ホールディングスグループのNDA およびレギュレーションにより、本レポートのご提供をお断りさせていただく場合がございます。予めご了承ください。
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日 時:2020年6月10日(水)16:00~18:00
ツール:ZOOM(事前の登録とアップデートをお願いいたします)
定 員:300名様
登壇者:博報堂コンサルティング パートナー 森門 教尊
博報堂コンサルティング シニアコンサルタント 鈴木 拓
博報堂コンサルティング コンサルタント 海野 幸志
※セミナー日程につきまして、当初「2020年6月10日(木)」とご案内しておりましたが、正しくは「2020年6月10日(水)」となります。訂正の上、お詫び申し上げます。