<第10回>成長に向けたブランド戦略 ― デジタル技術で伝達効果進展

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最終回の今回は、企業のブランド戦略にデジタルコミュニケーションの進展がもたらした変化と、求められる対応のあり方について考えたい。

デジタル技術により、企業は様々なデータから個々の顧客を子細に捉え、それぞれに合わせたアプローチを講じることが可能になった。性別・年代・居住地域など従来からある顧客分類軸に加え、デジタル空間での情報行動を読み解き、購買段階別に施策を打つことができるようになっている。

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※図: ブランド戦略に求められる新たな視点

このような状況においては、顧客へのアプローチ手段を「広告」「キャンペーン」など施策単位で考えるのでは不十分だ。顧客を購買に導く全体シナリオを描いた上で、一人ひとりの状況に合わせて伝えるべき情報を望ましい伝達手段に乗せてアプローチしていくこと、また伝達効果を随時検証し、状況に応じて打ち手を適宜修正していくことが求められている。とはいえ、ブランド戦略の「自社が選ばれるよう顧客の知覚に働きかける」という本質は変わらない。それを実行するために、日々新たに生まれる顧客とのコミュニケーション手段をウォッチし、自社と顧客をつなぐ手段として適したものを選んで高精度に施策を展開していくことが必要だ。

目指すべき顧客との関係のあり方も進化している。SNSが生活に浸透した結果、顧客は企業の製品・サービスに(意識せずとも)意義あるフィードバックをもたらすようになった。企業の側でも顧客とつながる場を設けて顧客を呼び込み、交流するケースが増えている。そうした中から、ブランドと深く結び付き、ブランドを周囲に推奨するファン顧客の存在や、そうした顧客をブランド戦略に効果的に巻き込むような動きも出てきている。企業としては、顧客を攻略すべきターゲットとしてだけでなく、ブランドを共有するパートナーと捉え、価値を協創していく姿勢が求められる。

(日経産業新聞 2016年2月17日付朝刊 スタートアップ面「ビジネス事始め」掲載)


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