【対談】パーパス×ブランディングで変革する、日本企業の生き抜き方とは<後編> ――岩嵜博論氏×森門教尊

  • 事業変革

ビジネスデザイナーであり武蔵野美術大学教授の岩崎博論氏と当社パートナー森門教尊がパーパスについて意見を交わす対談。前編では、改めてグローバルレベルで多くの企業がパーパスを志向する本質的な意味と、それが企業にもたらす具体的なメリットについて議論した(前編の記事はこちら)。後編となる本稿では、企業が実際にパーパスを策定する際に重要となる勘所や、パーパスとかけ合わせることによる新たなブランディングのあり方、そして今後の日本企業の見通しについて、具体的なフレームワーク等も用いながら深掘りする。

 


1.企業コンサルティングの現場を通じたパーパスの勘所

パーパス策定において重要となる、アブダクション(仮説推論)

森門:
実際にパーパスを策定する際、例えば、総合商社やコングロマリットなどでは、どの事業や分野にも等しく答えを出そうとすると行き詰ってしまうこともあると思います。また、パーパスを「社会課題を解決するもの」と捉えると、主たる社会課題というのは案外少なく、どこも似たようなパーパスになってしまうという声も聞きます。このように、パーパス策定には難所や落とし穴も多くあると思うのですが、押さえるべきパーパスの勘所についてはどのように思われますか。

岩嵜:
これは重要な課題ですね。私がデザインとビジネスを両方やっているのは、デザインに未来のビジネスの鍵があるのではないかと思ったからです。ロジカルシンキングとデザインシンキングの大きな違いは、ロジカルシンキングは英語で言うとAnalysis(分析的)、デザインシンキングの本質のひとつは、Synthesis(統合)ということです。この2つの頭の使い方は、どちらも必要だけれど全く違うものです。ロジカルシンキングの方法論は、枠を決めてもれなくダブりなく整理をして、要素と要素を比較検討し、選択する、というのが基本ですが、デザインシンキングは大きく異なり、アブダクション(仮説推論)と言いますが、点的に存在する兆しや仮説のようなものを合体・統合して、今までに見たことのない新しい解を作ろうとするクリエイティブなメソッドです。

パーパスの議論も、Analysis(分析)だけで考えていると上手くいきません。パーパスで必要なのは統合的に考えることなので、多くの矛盾に満ちた複雑性の中で、あるいは様々なステークホルダーがいる中で、それを統合的にコンセプチュアライズできるか、というのが非常に大事だと思っています。

例えば、コングロマリット的な側面を持つ某企業は、多岐にわたる事業を束ねてどうパーパス的にコンセプチュアライズするか考えた結果、一つのキーワードを生み出しました。それは、様々な事業を括ることができ、それぞれの事業に携わる人たちが共感できるようなコンセプトをクリエイティブに考えた結果生み出されたものです。もし、これが「豊かな未来を作ろう」などという類のものであれば、どうしても幕の内弁当のような嘘っぽさが出てしまう。だからこそ、デザイン的なクリエイティブマインドセット、すなわち統合思考が必要なのです。

森門:
なるほど、面白いですね。従来、当社のコンサル手法はどちらかというとロジカルシンキング寄りなところがあったのですが、これからはまさにそのアブダクション(仮説推論)が重要なのですね。

岩嵜:
両方使うということがとても大事だと思います。

森門:
はい。統合的思考と分析的思考は、ひとつのプロジェクト運営の中でもフェーズによって必要なものは異なるでしょうし、使い分けることも必要ですよね。でも、足し算の世界というよりは、色々な事象をアブダクティブな考え方で見ていくことによって化学反応を起こすような感じですよね。

岩嵜:
そうですね、やはりクリエイティブにコンセプトを生み出せるかどうかです。ごくわずかな言葉でも、説得力があり、イメージも膨らむようなコンセプトを作れるかどうかというのは非常に大事です。

森門:
そういう意味では、パーパスづくりというのは、コンサルだけでなくデザイナーをはじめ色々な技法や能力を総動員しないと作れないものですね。

ところで、こちらは当社で活用しているパーパス策定のフレームワークです。自社の「らしさ」やDNAを棚卸しする中で未来の社会の姿を見立て、自社が創りたい未来の姿と、自社のDNAを深くダイブしていったものをかけ合わせた接点となるところにパーパスの方向性がある、という考え方です。基本的にはワークショップ形式で進め、その中で先ほどの分析的な手法を使う作業もあるのですが、Day4・Day5あたりでいかに統合して単なる足し算で出し得ないものを創るか、というのが課題となります。

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図1:パーパスを導出するフレームワーク

 

 

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図2:パーパス検討ワークショップの流れ

自社の「らしさ」と社会から求められる「期待」との掛け算でパーパス、社会的存在意義が出来上がっていく中で、どこにユニークネスを出すか、もっと言うと、いかにオリジナルの「自社が創りたい未来の姿」を組み立てていくかがポイントになりますよね。

未来の姿はどのように描けばいいのか

岩嵜:
博報堂には未来洞察チームがあると思いますが、デザインのイシューとしても、ビジョンデザインというものがあります。未来洞察は、未来の兆しを探索して、それをSynthesis(統合)させ、どうユニークな未来のあるべき姿を引っ張ってくるか、というものです。これは世界的にも行われていることなので、ここも結構大事なポイントだと思います。「兆し」は英語でweak signalsといいますが、シグナルとしては弱いけれど、その弱いシグナルをまさに束ねていく(Synthesis)、それはアブダクションのプロセスそのものですよね。弱いシグナルを束ねて仮説推論する。そのプロセスを繰り返しやると、人々が一般解として知っているものではない、自分たちのオリジナルの未来ビジョンのようなものが生まれてくる、という考え方です。

森門:
実は私も、これまでブランディングにおいてシナリオプランニングは結構やってきました。でも、ここでやることは、企業にとって重要性が高く不確実なものを二軸で整理して未来を描くシナリオプランニングとは、少し違うように感じます。

岩嵜:
そうですね、色々な方法があると思いますが、大きくは3つあって、そのひとつがシナリオプランニングです。これは、おっしゃるように企業のイシューベースのものが出てきます。それから、兆しと企業のイシューをかけ合わせるインパクトダイナミクス(※1)というフレームワークがあります。これが真ん中くらい。そして3つ目は私たちが大学で取り組んでいるもので、兆しのみを使った、イシューというよりもソーシャルドリブンのものです。ここには企業の話はあまり入ってきません。この3つ目は方法論にも結構グラデーションがあり、兆しを合体させてシナリオを作るものや、未来だけでなく過去もリサーチするTradition Designという考え方などがあって、片方でやってみたけれどあまりクリエイティブなシナリオが出てこなかったら、今度は別の方を使ってみる、というように模索しています。

森門:
ここはまだ手法が確立されていく最中で、どれをどうチョイスするかというのは時宜にかなったやり方を考えねばならないのだと思いますが、少なくともここから出てくるのは、自社のリソースだけでなく外部からも力を借りないと解決できないようなものなのでしょうね。先ほどご紹介したフレームワークについても、これはあくまでひとつの概念フレームであり、視点は正しくとも方法論は今後まだまだブラッシュアップの余地があるのではと思っています。

岩嵜:
日本企業は、このフレームワークで言う「自分が創りたい“未来の姿(社会)”」の視点が弱いですよね。特にJTCと呼ばれる日本の伝統的な企業は、非常に弱いです。まずその自覚を持った方がいいと思います。

森門:
そこは、「兆し」や未来を強制発想するような方法があるのでしょうか。

岩嵜:
私は毎日英語の記事を500件くらい見て、気になったものをTwitterでつぶやいているのですが、そのTwitterの履歴を見ると、社会のある方向が見えてきます。小さな組織であれば、このようなことを恒常的にやるところから始める方法もあります。また、もっと大きな組織であれば、やはりそういう研究をする必要がありますよね。日本の企業はナチュラルサイエンス領域、工学領域の研究はたくさんしていますが、ソーシャルサイエンス領域の研究開発はほとんどしていません。これから必要になるのは、まさにそのソーシャルサイエンス領域の研究開発です。博報堂の生活総研がやっているようなことですね。

これは、実は古き良き時代にはたくさんやられていました。他の大手企業でもソーシャルサイエンス系の研究所を持っているところはたくさんあったのですが、途中でなくなったり弱体化したりしてしまいました。そういう、社会科学のリサーチを重視してこなかったツケが、いざその体力を発揮しようとした時に発揮できないという状況につながっていると思います。

企業にとっては、アジェンダセッティング(課題提起)が非常に重要です。ヨーロッパの企業はこれが上手で、EVや気候変動、GDPR(※2)のようなプライバシー設定もそうですね。中には日本企業が得意なインダストリーもあって、例えばゲームは、日本企業がほとんどアジェンダセッティングをしていますよね。このアジェンダセッティングに近いのが、この視点2です。まさに「自社が創りたい未来の姿」をどのように描けるか。それを「大きな船」で描けたら様々な人を連れて来ることができるわけです。

 

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岩嵜 博論(いわさき ひろのり)
武蔵野美術大学 クリエイティブイノベーション学科 教授 / ビジネスデザイナー
リベラルアーツと建築・都市デザインを学んだ後、博報堂においてマーケティング、ブランディング、イノベーション、事業開発、投資などに従事。2021年より武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科に着任し、ストラテジックデザイン、ビジネスデザインを専門として研究・教育活動に従事しながら、ビジネスデザイナーとしての実務を行っている。 ビジネス✕デザインのハイブリッドバックグラウンド。著書に『機会発見―生活者起点で市場をつくる』(英治出版)、共著に『パーパス 「意義化」する経済とその先』(NewsPicksパブリッシング)など。イリノイ工科大学Institute of Design修士課程修了、京都大学経営管理大学院博士後期課程修了、博士(経営科学)。

2.パーパスがもたらすブランディングの新たな地平

森門:
こうなると、ブランディングのあり方も変わってきますよね。これまでは顧客のニーズや価値を機能価値や情緒価値に要素分解し、もう一度高めていけば価値を規定することができたのですが、パーパスは射程範囲がかなり広い。場合によっては企業という単位ではなく産業のあり方も変えてしまうような、それだけ枠がはずされた領域でやるブランディングというのは、かえってハードルが上がったような気もするのですが。

岩嵜:
そうですね、でもここは博報堂コンサルティングにとっても大きなチャンスではないでしょうか。博報堂で提唱している「BX(ブランド・トランスフォーメーション)」(※3)は、ブランドの経営イシュー化だと思います。逆に言えば経営そのものをブランド化することです。ブランドを強化することは企業の大きな競争優位性につながり、その中心にあるのはパーパスである、という、ブランドをコミュニケーションとしてではなく経営として捉える考え方です。これがひとつの新しいブランド経営の在り方に見えますね。

森門:
そこには、やはりステークホルダーもいますよね。

岩嵜:
もちろんです。あらゆるステークホルダーに対する、パーパスを核にした経営ですね。

森門:
一時、ブランディングこそブームなのではないかと言われていた時代もありましたが、パーパスとブランディングの関係性についてはどうでしょう。この掛け算は意外と相性が良いのではと思うのですが。

岩嵜:
パーパスがブランドを駆動する大きな要因になっていく、つまり、ブランドは「決めるもの」から「結果として生み出されるもの」に変わってきているのではないでしょうか。規定したり掲げたりするものはパーパスで、強くてシンプルで共感を生むものが掲げられ、それに基づく様々な活動がパーパスにつながっていくことによって、結果としてその企業のブランドが強くなる、という構造のような気がします。だから、規定するものが少なくシンプルになっていくのではないかと思います。

森門:
これまでのブランディングは、比較的等身大というか、その会社の持つ素の力をいかに外に向けて表現していくか、ということでしたが、そうなると現有価値ではなく期待価値ですね。期待を募って、それを外からの評判獲得に使っていくということになるのですね。

岩嵜:
だからインパクトも大事ですよね。それは、社会に対するインパクトという切り口も有効になっていくのではないかと思います。事業規模が大きくても社会に対するインパクトが少なかったり、逆にネガティブインパクトだったりする企業もあり得ますよね。そういう企業は期待値が低いですよね。だから、いわゆるPER(株価収益率)なども軒並み低くなってしまいます。一方、事業規模は小さくても成長軌道に乗っている企業は非常に高い企業評価を得られるわけなので、そこは大きな違いになってくると思います。

パーパス×ブランディングという視点でブランドを見ると、より「共感性」が大事になるのではないでしょうか。パーパスは企業の社会的責任なので、「大きな船」ですよね。だから、あまり誰も反対しない、むしろ積極的にみんながそこに乗って来れるような共感できる社会像をパーパスとして描き、それがブランドに反映されることが重要だと思います。なので、先ほどのフレームワークの未来像の部分でクリエイティブな「なるほど、こういう未来があったのか」みたいなものが描けると、それが共感を呼ぶことになるのだと思います。

森門:
「共感」は、これからのパーパス×ブランディングのキーワードですね。「価値に感じる」とか「満足を得る」とかではなく「共感」ですね。

岩嵜:
そうです、「共感」であり、持続的社会につながるようなもの。そう考えると、やはり機能的な価値が減衰していると思いますね。デザインの世界では「意味のイノベーション(※4)」とも言われますが、意味的価値をどう作るかが重要になってきています。最近それが如実に出ているのがレコードの復権です。これは現代的な経営理論ではなかなか説明が難しいのですが、音質で言えばストリーミングやCDの方が圧倒的にいいのに、アメリカではCDのセールスをレコードのセールスが抜いてしまい、どこで止まるかわからない勢いです。レコードだけでなく、チェキも同様に伸びています。あれも説明がつきません。

そういうものに移っていくのではないでしょうか。早いとか薄いとか性能がいいという機能的なものが価値ではなくなりつつある。では何をもって価値とするのか。それが「共感できるもの」で、例えば手触りがあるものだったり、ストーリーがあるものだったり、サステナブルな未来につながるもの、次世代につながるものなどに、人々は共感し価値を見出すのではないでしょうか。

森門:
これまでは機能が先行していて、ものごとにはまず属性があり、それを昇華していくとその機能の価値の上に情緒的価値や精神的価値がありました。つまりは機能にすべてデザインされていて、そこに、想定された機能に具備された範囲として情緒があったのだと思いますが、それとは発想が逆なのでしょうね。おそらく意味の世界や情緒の世界は、逆に機能をより自由にしていく可能性があると思います。そういう意味では、ブランド構築のやり方もこれによって変わる可能性がありますね。

岩嵜:
よりナラティブ(物語)やエンパシー(共感)ベースで考える必要がありますよね。なので、やはりよりクリエイティブが必要になるのですよね。

森門:
そうですね。これまでのブランディングは「こういう建付けだろう」というストーリーを与えて、そこをみんなが通っていくだろうと想定するものでしたが、そうではなくて、人によって感じ方や意味の付け方が異なるものを、どう文脈をとるか、というところに入っていくのだろうという印象ですね。

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森門 教尊(もりかど のりたか)
株式会社博報堂コンサルティング パートナー
外資系コンサルティングファームを経て、博報堂に入社。博報堂ブランドコンサルティングの立ち上げに参画。成熟産業の事業変革モデル構築・ブランド再生など支援。その後はデジタル戦略から実践まで一貫して扱う博報堂ネットプリズムに参画。現在はブランディングの視点からパーパス策定/経営変革等に携わる。

3.これからの企業に対する見通し・期待

森門:
最後に、企業経営はこれからもっと難しくなっていくのではないかと思うのですが、これからの企業に対する見通しを教えてください。

岩嵜:
日本の企業はいくつかに役割を分化していくはずです。ひとつはグローバル競争の土台で戦っていく企業。それから日本のドメスティックな世界で日本の社会課題的な状況に貢献していく企業。あとはもう少しローカルな世界で戦う中小企業的なところ。もちろん今までもこのようなレイヤーで企業活動は行われてきているのですが、それぞれの役割がより異なってくるのだろうと思います。

また、パーパスは社会的存在意義なので、CSR的なニュアンスの社会貢献とは異なります。企業というのは冒頭にお話しした通り、社会的な責任を果たすことと成長することをどう両立させるかが非常に大事です。それを戦略の中心に据えることができるかどうか。これができた企業は持続的に強い企業として残るでしょうし、できない企業は市場・社会から淘汰されてしまう。そういう見通しを持っています。

そして、これをやるには統合思考が必要なので、分析的思考だけではなかなか上手くいかない、ということです。ただ一方で、統合思考やクリエイティビティは企業の中に実装されていません。創造性はブラックボックス化していて、偉大なデザイナーやクリエイターでないと実現できないと思われていますが、実際には、多くの人がビジネススクールに行ってプロフェッショナルのビジネスパーソンになるように、海外のデザインスクールでは創造的な方法論を教えられ、そこを出た人がクリエイティブリーダーとして活躍しています。つまり、明文化された方法論があり、ある意味誰もがその方法論を使えばクリエイティブなビジネスを運営することができるようになります。その人が、企業の中で統合思考を発揮すればいいのです。

さらに、企業には組織分化の問題もあり、ファシリテーションができる連携パーソンが必要です。ここも広い意味でのデザインが貢献できる領域です。昨年マッキンゼーが出した「Redesigning the design department(デザイン部門をリデザインする)」というレポート(※5)では、デザイン部門はデザイン部門の中にとどまるのではなく、色々な組織に出張っていって、組織と組織、人と人、知識と知識をつなげる役割を持つべきだ、と書かれています。現にそのようにデザイン部門を野に放っている企業ほど、業績がいい、と言うのです。

私は、それは正しいと思っていて、色々な要素と要素を繋ぎ合わせる人が必要なのだと思います。だから、テーマはやはりSynthesis(統合)ですよね。かけ合わせる能力、統合する能力を企業が持てるかどうかが非常に重要ですし、それは企業経営においても同じことであり、それは明文化された知識として運用可能なものなのです。

森門:
なるほど。何をもって統合するかというところにデザインの力を借りる必要があり、やはり統合的思考で企業を経営していく、というところにいかないと難しいということですね。今まではこのようなことを行うセクターが想定されていなかったと思いますが、それは、よりきちんとマネジメントをできるようにしなければならないですね。

岩嵜:
その通りです。20世紀のマネジメントはサイエンスのマネジメントで良かったけれど、21世紀のマネジメントはアートのマネジメントが必要。つまり、アートもマネジメント可能である、ということですね。アートは一見マネジメントできないものと思われがちですが、実はそうではなく、アートもマネジメントできるようになる、ということも21世紀の大きな課題です。

森門:
パーパス経営やパーパスドリブンについて考えるにあたっては、そのような今までの企業経営の仕組みが変わるタイミングに来ているということなのでしょうね。

岩嵜:
そうですね。だから「変わる」ことが大事なのでしょうね。「変わる」ことに価値を置いていないのは、日本企業の大きな課題です。グローバル企業は、それが重要であると認識しています。日本では、イノベーションを否定する人は少ないかも知れませんが、本気でやらねばとは思っていない人もまだまだ多いのではと思います。

逆に言うと、「変えたい」と思う人にとってパーパスは、ある意味では非常に使い勝手のいいコンセプトだと思います。社会的責任を否定する人はあまりいません。だから、変えたい人は、パーパスを被ってイノベーティブなことをやればいいと思います。「イノベーション」や「新規事業」など新しいことをやるというだけでは、企業の中にはどうしても保守的な勢力が生まれてしまいます。そうではなく、社会的責任を果たすためにやりたいのだと言いながら、イノベーティブなことをやればいいと思います。

森門:
変革のための変革ではなく、「パーパス」というところが、変革の大きな理由になるということですね。今回、この対談記事を読んでくださる方々の多くは、おそらく「変えたい」と思っている、少なくともその種や兆しがある方々ではないかと思うのですが、本対談がそのような方の動き出す動機につながればいいなと思います。
本日は大変貴重なお話をありがとうございました。

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(※1)インパクトダイナミクス:
社会変化シナリオと技術発展シナリオを掛け合わせ,そこから強制発想してアイデアを生成させる方法。

(※2)GDPR:
「EU一般データ保護規則」(GDPR:General Data Protection Regulation)とは、個人データ保護やその取り扱いについて詳細に定められたEU域内の各国に適用される法令のことで、2018年5月25日に施行された。自然人の基本的な権利の保護という観点から、個人情報の扱いについて規制を行っている。

(※3)BX(ブランド・トランスフォーメーション):
博報堂が定義した考え方で、これからの事業変革・事業成長の鍵は「ブランド」にあると捉え、生活者発想で事業を変革することを指す。

(※4)意味のイノベーション:
イタリア・ミラノ工科大学のロベルト・ベルガンティ教授が、著書「デザイン・ドリブン・イノベーション」の中で提唱した考え方で、製品の機能ではなく、人間の感情や象徴としての「意味」を革新することの重要性を説いたもの。

(※5)「Redesigning the design department」:
マッキンゼーアンドカンパニーが2022年4月27日にリリースしたレポート。


 

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