~約8ヶ月ぶりの最新情報発信・商談の場 リアルとオンラインのハイブリッドイベント~
世界最大級のエレクトロニクスショー「IFA」。今年はCOVID-19新型コロナウィルス感染症の影響を受け開催規模・期間を縮小しこれまでのスタイルとは異なり、初めてリアルとオンラインのハイブリッド方式で開催された。世界各地で実施されている大規模な展示会の大半が中止または延期となる中で数か月ぶりの主要企業の最新情報発信であったIFAはこれからのイベントの形式のひとつの方向性を示したとも言える。
IFAにおいて重要な「リアルイベント」の実施
IFA(国際コンシューマー・エレクトロニクス展)は、同業界において世界最大級のグローバルイベントであり、1924年の初開催から90年以上の歴史を持つ。2017年にはITスタートアップの祭典「IFA NEXT」、2018年にはコネクテッド・モビリティの分野を包括するイベント「SHIFT Mobility」を併催しながら、総合エレクトロニクスショーとして成長を続けている。
最新の製品やサービスのショーケースとしてだけでなく、ブラックフライデー、中国のシングルデー、そしてクリスマス商戦に向けて“今売れる製品”を商談する、実ビジネスの場でもある。会期中の取引総額は例年公表され、2019年には約47億ユーロ(約5,700億円)に達している。
IFA統括本部長のイエンズ・ハイテッカー氏は、メディア、ブランド、製造、小売、消費者のニーズにマッチさせ、同時に効果的な機能を備えるイベントであるとIFAを位置づけ、チャレンジではあるものの業界のステークホルダーが一堂に会することの重要性を訴え、オンラインだけでなくリアルと併用した大規模開催に踏み切り、それが経済・業界の回復のためのソリューションとなるとの期待を述べている。
困難な状況下であっても革新性のあるイベントに~3つのコア機能の再定義~
今回、IFAはコア機能を再定義し3つのイベントに分割した。
例年メッセ・ベルリンの会場を埋め尽くす一般来場者を迎え入れることなく、開催3日間に3つの独立したイベント会場として「発表の場」「最新技術プラットフォーム」「商談の場」を置き、さらに各イベントに「1日1,000人まで」の人数制限を設けた。
(※当初OEMやODMを対象としたソーシングの場である「IFA Global Markets」を開催予定だったが、アジアのOEM/ODM企業の多くが渡独できないという状況を踏まえて中止された。)
数か月の空白を経て久しぶりに実施されたIFA2020 ~3つの注目ポイント~
IFA2020 Special Editionは、COVID-19によって次々と開催中止を余儀なくされたテック系国際展示会の数ヶ月間の空白を経て、ようやく実施されるグローバルな情報発信・商談の場であることを背景に「TECH IS BACK」を掲げ、コンシューマー・エレクトロニクス、モビリティの新製品やイノベーションを、リアルとヴァーチャルで紹介した。
(図1)IFA2020オープニング 出典元:https://press.messe-berlin.com/fotoweb/archives/5034-IFA/
POINT① 各社の発表の中で提示された、未来の生活のあり方は「住まい方」まで
今回のIFAでは、未来の生活の在り方がテーマとして多く取り上げられ、モビリティやスマートシティなどのインフラ関連から、「住まい方」までテーマのスコープが広がった。人々の生活環境はどう変化していくか、モビリティ・シティはどのように変化し、住まい方はどう変化するか、各企業の見据えるシナリオが提示された。
POINT② コロナ禍における変化を捉えた、テクノロジー企業の最新の商品・サービスとは
家電メーカーを中心とする各テクノロジー企業からは、コロナ禍による日常変化をどのように捉え、対応をしていこうと考えているか、またその設計思想を落とし込んだプロダクトが多く紹介された。ニューノーマルにおける商品やサービスはどこに注力し、どのようなものである必要があるか、また、どのようなテクノロジーがどう活用されているか。これからの商品・サービスのあるべき姿を探ることができる。
POINT③ コロナ後初の大規模国際展示会は、リアルとオンラインのハイブリッド
IFA2020は、コロナ禍以降の国際的な展示会としては初となるリアルとヴァーチャルの併催となった。経済的効果と衛生問題を熟慮し、リアルで行うべき部分はリアルで、ヴァーチャルで行うべき部分をヴァーチャルで行う両面体制を採用した形である。今回のIFA2020がどのように運営されたのかは、今後の国際的な情報発信のあり方の一つの方向性を示したとも言える。
このような視点を踏まえ、今回のセミナーでは以下を中心にご紹介する予定である。
●IFA2020の概要/今年の開催状況
●出展各社が想定するコロナ後のシナリオ ※以下の企業の中からご紹介予定
(Samsung / LG / BSH / Miele / Philips / Haier / TCL等)
●コロナ禍の変化を踏まえた各社の商品・サービス状況 ※以下の企業の中からご紹介予定
・家電
(LG / BSH / TCL / Huawei / Haier / Miele / HONOR / Realme / TUYA / Samsung / Philips / TP Vision 等)
・モビリティ/スマートシティ(Village)
(Hyundai / OPEL 等)
●これからのイベントの実施・運営について
●シナリオの必要性