成果を生み出し続ける「強い組織」のつくり方 <第4回:社員の自律的な行動を生み出すには?> ~オンラインセミナーのご案内~

依田 真幸

依田 真幸

  • 組織改革・人材育成

社員のモチベーションを上げ、社員ひとりひとりが自律的に行動できるようにするには、どうすれば良いのか。前回までのコラムやセミナーにおいて、組織強化に向けた成功循環モデルの第1・第2ステップである「関係の質」「思考の質」について、当社独自の切り口による解決策を提示してきた。今回は、それに続く第3ステップとなる「行動の質」に焦点を当て、社員が自らの意思で組織に貢献するような行動をとり、成果につなげる土壌を作るための方法について、実際に取組む際の視点も踏まえて考察する。

 


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1.成功循環モデルにおける「行動の質」を高めるには

組織を強くするために高めていくべき「関係」「思考」「行動」「結果」という4つの質。このうち、関係の質を高めるのに有効な方法としては、「ギバー」を起点とした組織内のコミュニケーション強化が挙げられる(第2回コラム参照)。また、思考の質を高めることは、企業理念の浸透と密接に関わっており、ひとりひとりの社員が内省し気付きを得ることによる「自分ゴト化」が重要なポイントだった(第3回コラム参照)。

 

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では、関係の質と思考の質が高まり、個人と組織の価値観が一致した状態で社員が組織の課題を「自分ゴト化」できた後、その人たちが具体的に行動していくにはどうすればよいか。

まず考えられるのは、組織と自らの共通する価値観に気付いた人が行動する「チャンス」を与えることである。具体的には、全社的なタスクフォースに参加したり、現行業務のありたい姿を検討したりするなど、いつもの自分の環境を越える(越境)・いつもとは違う視点でものごと見る(俯瞰)などの機会を与えるのである。また、与えるだけではなく、手上げ制や公募制など自らチャンスを掴み取りやすい環境を用意するのも有効だろう。

それから、この「価値観に気付いて行動し始めた人」が生き生きと活躍している姿を見せることで、まだ内省段階にいる人たちを引き上げていくという方法もある。価値観への気付きや自分ゴト化は一斉に起きるわけではない。従って、まずは最初に行動し始める人たちを一定数作ること、そして、その人たちの影響で他の人たちの行動も変わってくるような関係性を構築することも必要だと考えられる。

ただ、お気づきのように、現実的にはこの「価値観への気付き・自分ゴト化」はそう容易なことではない。仮にここに到達した社員が一定数いたとしても、それに多くの社員が追従し、その結果として組織内の大多数がここに到達している姿というのも、すぐに実現できるようなものではない。つまり、実際には自分ゴト化できたごく一部の人と、そうではない人たちがいる状態の中で走りながら取組み続けていかなければならない。このような現実の中で、行動の質を高めるために押さえるべきポイントは一体何なのか。「個人」と「組織」、2つの視点からひも解いてみる。

2.個人の自律的な行動の源泉となる、内発的動機付け

組織の行動の質を高めるために考えなければならないのは、やはりまず「個人」だ。この「個人」が自律的に行動するには、そのためのモチベーションが必要となる。では、そのモチベーションとは具体的に何か。

かつてアメリカの作家ダニエル・ピンク氏が提唱した「モチベーション3.0」によると、戦後の「生きるため、食べるために働く」という生理的動機がモチベーションとなった時代に対し、高度成長期・バブル期にはモチベーション2.0と呼ばれる「成功報酬のために働く」という外発的動機となった。そして社会が成熟した今は、変化の激しいこれからの時代を生き抜くための柔軟で強い組織を作り上げるために必要なモチベーションとして「内発的動機付け」が必要であるとされている。

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内発的動機付けとは、個人の内的な欲求が自発的な行動を引き起こすモチベーションとなることである。アメリカの心理学者エドワード・デジ氏とリチャード・ライアン氏によって提唱された「自己決定理論」では、自己決定の度合いが動機付けに影響するのであり、「自律性」「有能感」「関係性」という3つの心理的欲求を満たすことが行動を起こすうえで重要だとしている。

「自律性」とは、自分の行動を自分自身で選択したいという欲求であり、他者から強制されているのではないと感じられることである。
「有能性」とは、置かれた環境と効果的に関わり、自分には能力があると感じたいという欲求である。
「関係性」とは、人と互いに思いやることで精神的な関係を築きたいという欲求である。

つまり、個人の行動の質を高めるには内発的動機付けがもっとも大切で、それはこの3つの心理的欲求が満たされた状態のことを指すのだ。

逆に言うと、思考の質を高めるには内発的動機付けが必須であり、思考の質を高めていく中で、この3つの要素は育まれているはずなのである。

従って、思考の質を高めることと内発的動機付けを意識してそれを育むことは同じことであると考えられ、この3つの心理的欲求をどのように高めていくか、というのが個人の行動の質を高めるポイントになると言えるだろう。

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3.実践における組織の内発的動機付けは、「行動しながら整える」

では、これを組織という視点で見たらどうか。

個人の内発的動機付けを進めるにしても、当然個人間でばらつきがある。しかし、仕事とはチームで取り組むことがほとんどである。そうなると、チームメンバーのうち一体どれくらいの人が自律的に行動できる状態になれば組織としての行動の質が高まったと言えるのか。

また、プロジェクトであれば、たいていは立上げ時に毎回新しいメンバーが集められるため、関係の質も思考の質も高められていない状態で、いきなり行動を求められることになる。するとエントリーポイントが行動の質になるため、結果だけを見て行動を続けることになり、やがて疲弊して関係もぎくしゃくしてしまう。さらには、仮にプロジェクト初期に関係の質・思考の質をうまく高められる余裕があり、良いチームができていたとしても、徐々にプロジェクトが忙しくなってくるとそれどころではなくなり、いつの間にかギスギスして関係の質まで逆戻りすることもあり得る。

つまり、現実では関係の質から順番に丁寧に積み上げていく余裕はないことも多く、行動しながらいかに関係の質・思考の質を整えていくか、というのが実践では求められるのである。

 

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では、具体的にどうすればよいか。
その詳細は、3月27日開催のセミナーでお話しする。

ご興味のある方は、ぜひ下記の申込フォームよりお申込み・ご参加いただきたい。

 


―本内容を詳しくご紹介するセミナーを実施いたします―

<オンラインセミナー概要>

成果を生み出し続ける強い組織のつくり方
―第4回:社員の自律的な行動を生み出すには?―


【日 時】2023年3月27日(月)16:00-17:00
【ツール】ZOOM(お申込み時は法人メールアドレスでご登録ください。ご参加時にメールアドレスでログインいただきます)
【登壇者】
 BIPROGY株式会社 グループマーケティング部 小谷野 圭司 氏
 株式会社博報堂コンサルティング プロデューサー 依田 真幸

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※本セミナーのお申込みにつきまして、博報堂および博報堂DY ホールディングスグループのNDAおよびレギュレーションにより、セミナーのご参加をお断りさせていただく場合がございます。予めご了承ください。

 


 

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