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25周年にあたり

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2026.04.06
25周年にあたり

先日、8歳の息子に「人生の意味って何?」と聞かれました。小学生にもなると、社会や集団のなかでの自分を意識します。親など年長者の様子を見て、人生が永遠ではない、ということにも気づくのでしょう。そして彼らは人生の意味や目的を問うことになります。

はじめまして、4月1日より博報堂コンサルティングの代表取締役社長を務めます、山形健(やまがたたけし)と申します。かれこれ20年近く、さまざまなブランドに関わるお手伝いをさせていただいております。

日本の企業や社会においてブランドが本格的な議題になりはじめたのは1980年代頃ですが、私が携わったここ20年ほどでも、ブランドのあり方は変化してきています。ひとつは、ブランドが関わる領域が広がったことです。かつては象徴、記号が中心であった議論が、事業活動全体、顧客体験全体、関わるステークホルダー全体と広がりを見せています。当然、規定物としてのブランドは複雑になりますが、同時に様々な人がそれぞれに関われるような、骨太なあり方が求められています。
もうひとつは、ブランドが様々な活動の目的や意味の源泉になりはじめたことです。ブランドパーパスの議論がその象徴ですが、企業が社会の中の存在として、組織のメンバーやお客さま、ステークホルダー、社会の人々に対して、経済的な存続と結びつく形で拠り所をもつことが求められるようになりました。このとき重要なことは、単に最大公約数としての約束事をもつということだけでなく、不確実な未来に向かって何を掲げるのか、ということです。無責任に明るい未来を述べればいいわけでもなく、これまでの延長でいいわけでもない。そこには、ある道を選び取ることへの勇気や覚悟が求められます。

この先、ブランドを扱う人が問うべきことは何でしょうか。私が考えるのは、ブランドは常に人がつくり、人が認識し、人を動かすものだということです。変わり続ける人や組織、社会にあって、未来に向かって掲げるブランドは、そのブランドならではの、人、組織、社会、未来へのひとつの答えを用意します。どれだけ成長するかという前に、何を成長とみなすか。何が正解かというよりも、何を正解にするつもりなのか。そこに込められた力が、価値を生み出し、社会を動かすのだと考えます。

意味や目的は、自明ではありません。これらを問うのは、社会を認識し、時間を意識し、言葉を用いるようになった人間ならではと言われます。8歳の息子もそのスタート地点に立ちましたが、彼もまた、意味や目的を周りに問うところからはじまり、見えない未来に向かってそれを自問し、自分ならではの答えを掲げるようになるでしょう。

博報堂コンサルティングは今年、25周年を迎えます。

25年前、「博報堂ブランドコンサルティング」として産声をあげてから、私たちは形を変え、進化を続けてきました。オフィスの場所も、組織を構成するメンバーも、それを率いるリーダーも、さらには企業名さえ、当時と同じではありません。一方で、ブランドの可能性を自らに問い続け、より良きブランド作りに向かって皆様と問い続けることは変わりません。

「ブランドの力で、人と企業の想いをむすび、社会の可能性をひらく」。
これまでご関係いただいた皆様のご支援に、深く感謝申し上げます。
25周年という節目に社長の任を拝命した重責を胸に、皆様と共に次の四半世紀を切り拓いていく所存です。
今後とも、変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

2026年4月
株式会社博報堂コンサルティング
代表取締役社長 山形 健