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ブランドと経営の未来を解き明かす、3つの潮流

Brand Purpose
2026.09.09
ブランドと経営の未来を解き明かす、3つの潮流

現代のビジネス環境は、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)を超え、BANI(脆弱・不安・非線形・不可解)と形容されるほど混乱を極めています。このような時代に、企業が持続的な成長を遂げ、独自のブランド価値を築くためには、これまでの常識を疑う「新しい物差し」が必要です。

本稿では、国内外で注目され始めている3つの概念――「ゼブラ企業」「WEIRD」「CXOレベルの再構築」をご紹介します。

目次
①「ゼブラ企業」:社会課題の解決と経済的成長を両立する「群れ」の経営
②「WEIRD」:欧米中心の普遍性を問い直すフレームワーク
③「CXOレベルの再構築」:持続不可能なリーダーシップからの脱却

1.「ゼブラ企業」:社会課題の解決と経済的成長を両立する「群れ」の経営

シリコンバレーで生まれた、短期間での独占的成長を目指す「ユニコーン企業」へのアンチテーゼとして、「ゼブラ企業(Zebra Companies)」が台頭しています。シマウマ(ゼブラ)のように白と黒(社会性と経済性)の模様を併せ持ち、群れで行動し共生を目指すのがその特徴です。

ゼブラ企業の特徴は以下の4点に集約されます:
 ・社会価値の追求: 売上の最大化そのものではなく、事業を通じたより良い社会の構築を目的とする。
 ・多様な力の結合: 複雑な課題に対し、時間、クリエイティブ、コミュニティなどの多様な資源を組み合わせる。
 ・長期的・包摂的: 短期的な株主還元ではなく、ステークホルダー全体の幸せを長期的に追求する。
 ・一貫した行動: 二律背反する要素(トレードオフ)を踏まえ、ビジョンを行動に落とし込む。

日本では、秋田県男鹿市の「稲とアガベ*1」や福岡県の「うなぎの寝床*2」などが、地域文化を核としたゼブラ企業の先駆けとして注目されています。

2. 「WEIRD」:欧米中心の普遍性を問い直すフレームワーク

次に注目すべきは、心理学や社会学の文脈で警鐘を鳴らされている「WEIRD(ウィアード)」という概念です。これは以下の5つの頭文字をとった言葉です:
・Western(西洋の)
・Educated(高等教育を受けた)
・Industrialized(産業化された)
・Rich(豊かな)
・Democratic(民主主義的な)
世界の人口のわずか12%に過ぎないWEIRD圏のデータが、これまで「人間の普遍的な心理」として語られてきました。しかし、非WEIRD圏(日本もその傾向が強い)では、道徳的普遍主義よりも「内集団への配慮」を重視し、分析的思考よりも「包括的思考」を好むといった明確な違いが存在します。
コンサルティング手法やパーパス経営の多くは欧米(WEIRDが多い地域)発祥ですが、それをそのまま日本の組織や生活者に適用しても機能しない場合があります。「自分たちが依って立つ土壌はどこにあるのか」という文化的背景を再考することが、真に実効性のある戦略立案の鍵となります。

3. 「CXOレベルの再構築」:持続不可能なリーダーシップからの脱却

技術革新や顧客要求の複雑化により、経営幹部であるCXOレベルが直面する課題は増大し続けています。あるコンサルティング会社の調査*3によれば、CXOレベルの人数は過去5年で約23%増加し、求められるスキルや職責も大幅に拡張されています。
この現状に対し、博報堂DYグループのIDEOを始め、世界の先進組織は「CXOレベルの再構築(Reimagine the C-suite)」を提唱しており、以下の4つの転換(シフト)を促しています:
 1.役割の再定義: あらゆる問題に「答え」を出す超人から、本質的な「問い」を立てる存在(Chief Inquiry Officer)へ。
 2.役割の流動化: 固定的な職責から、状況に応じて融合・変化する流動的な構造へ。
 3.人的持続性: 24時間365日のパフォーマンス一辺倒ではなく、リーダー自身の「再生(Recovery)」の時間を設計する。
 4.集合的リーダーシップ: カリスマCEOへの依存を脱し、幹部や社外アドバイザーを含む「集合知」による意思決定へ。

今後の展望:みえない価値をどのように証明するか

これらの潮流に共通するのは、これまでの「効率性」や「短期利益」といった単一の物差しでは測りきれない、「みえない価値(ブランド、社会貢献、文化など)」の重要性です。
例えば、ゼブラ企業を支援するZebras and Company(Z&C)は、社会的インパクトを可視化する「セオリー・オブ・チェンジ(TOC:変化の地図)」や、IPOを前提としない柔軟な投資スキームを開発しています。*4

私たち博報堂コンサルティングも、クライアントが社会インパクトと経済性を両立させるための「新しい物差し」を提示し、共に変革を導くパートナーでありたいと考えています。


(引用一覧 2026年1月22日時点)
*1 稲とアガベ公式HP https://inetoagave.com/
*2 うなぎの寝床公式HP https://unagino-nedoko.net/
*3 Deloitte|More roles, more responsibilities: Navigating the new frontiers of the modern C-suite https://www.deloitte.com/us/en/insights/topics/business-strategy-growth/new-c-suite-roles-and-responsibility-expansion.html
*4 IDEO|Is it time to reimagine the C-suite? https://www.ideo.com/journal/is-it-time-to-reimagine-the-c-suite