企業・事業の強みの源泉を辿り、未来に向けた価値を構造化するには ~提供価値規定のご紹介~

「ブランドを作りたい」「会社や商品・サービスのブランディングをしたい」「ブランドの認知・競争優位性を確立したい」というニーズを持つ企業は多い。また、周年や社長交代などのタイミングで、改めて自社の事業価値を再検討したいと考えることもあるだろう。ブランディングとは、「自社がどのような価値を持つのか」をはっきりさせた上で、それを体現していくことである。そして、その価値を規定するのが、当社の「提供価値規定」である。

提供価値とは、単に目の前のマーケティング対象である顧客や取引先に対して提供する価値だけではない。社会・環境に対してどのような価値を持っているか、従業員はどう思っているのか、株主や投資家はどのようなことを求めているのか。これらすべてのステークホルダーに対して自社がどのような価値を実現するのか、ということを定義するのが提供価値規定である。従って、この提供価値規定は、ブランディング戦略やクリエイティブ開発、コミュニケーションプランニングはもちろんのこと、事業戦略やマーケティング戦略、新規事業開発など、あらゆる戦略の土台となるものなのである。

 

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当社では、「ブランドの扇」と呼ばれる以下のような独自のフレームを用いて、ブランド提供価値を構成する各要素を整理している。扇の項目はプロジェクトごとにカスタマイズするが、ここでは一般的な項目でご説明する。

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まず、扇の最上部にあるマーケティングターゲット・ブランドターゲットを設定する。マーケティングターゲットとは、自社のブランドや製品・サービスが狙っているターゲット、すなわち、マーケティング活動の結果、顧客として獲得する可能性がある層のことである。一方、ブランドターゲットとは、その中でも特に自社のブランド・製品・サービスを理解・共感し、象徴的にそのブランドを表現したり推奨したりしてくれるような対象のことを指す。ブランドターゲットは、マーケティングターゲットに対して情報拡散していくという意味も含め、ブランドのコアなターゲットとして細かく設定していく必要がある。

ターゲットを設定した上で、今度は扇の下部にあるブランドの構造を整理する。最下部にある「バリュー/カルチャー/ウェイ」とは、例えば企業理念など、提供価値を作るにあたりここからは離れられないというような、ブランドの核となる思想や価値観である。これを土台として、自社や自社の製品・サービス、スタッフなどの具体的な特徴(事実)を強み・特長として抽出する。そして、その強み・特長を顧客が受けた時に手に入れられる機能的価値と情緒的価値が何かを整理する。機能的価値とは、例えば「この製品を使うと汚れがよく落ちる」という物理的・機能的な効果のことであり、情緒的価値とは、例えば「この製品を使っている時はとても気分がいい」「この製品を使うとセレブの仲間入りを果たしたように思える」という感覚的・気分的な効果のことである。さらに、それらを外部から見た時の、ブランドが醸し出す雰囲気や世界観が、ブランドパーソナリティである。例えば「このブランドはクリエイティブなブランドに見える」とか「面白いブランドに見える」というような、ブランドを人間に例えた場合の性格のようなもので、クリエイティブで表現されるものから、スタッフが店頭で醸し出す雰囲気や身のこなし等までも定義するものである。

そして、これらすべてを掛け合わせた交点にあるのが、ブランドエッセンスである。ブランドエッセンスは、ブランドの提供価値全体を凝縮してひと言で表したものであり、「われわれは何者です」という約束、すなわちブランドの起点となるものである。

この「ブランドの扇」を作るサービスプロセスは、ResearchとConsiderationから成る、以下の4つのステップで構成される。

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Researchの2つのステップでは、市場環境・事業課題とブランドについての現状分析を行う。現状分析は、「自社(Company)」「競合(Competitor)」「顧客(Customer)」という大きく3つの視点(3C)に「社会潮流(Context)」を加えた「4C」の視点から調査を行う。「社会潮流(Context)」は、将来の状況を踏まえるという意味で非常に大事な視点である。どのような市場においてどのようなブランドであるべきかを描くために、As is(現状の姿)とTo be(あるべき理想の姿)像を明確にした上で、顧客ニーズや競合状況、企業課題などを整理・構造化することが大切なのである。

次に、Considerationのステップとして検討ワークショップを行う。ワークショップでは、まずResearchの結果をインプットする。これは、ワークショップには様々な部署や職位の人が参加するため、参加者全員のリテラシーを揃えるために必要なプロセスだ。その上でチーム分けを行い、日頃の立場が違っても否定せず発展的に議論を行うことに留意しながら討議を行う。そして、参加者が自分たちの頭の中で情報を咀嚼し、理解し、話し合いながら組み立てていくという体験を通して最終的なアウトプットを作成することで、社内の合意形成を図る。

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ワークショップで討議する提供価値構造は、まず強み・特長から競合と比較して圧倒的に差別化すべき価値を抽出し、ブランドパーソナリティとブランドエッセンスを規定する。ブランドパーソナリティを作成する際は、形容詞や色、写真などを用いてどのイメージに近いかを話し合う。この時、言葉や文章だけで行うとそれぞれのイメージするものが食い違っていく可能性があるため、色や素材感や物、動物などに置き換えてきちんとイメージをすり合わせていくのがポイントである。

提供価値とブランドパーソナリティ、ブランドエッセンスを作成した後、その提供価値構造を精緻化し、最終的に作成されるのが、以下のようなイメージである。個々の強み・特長は機能的価値、情緒的価値と因果関係になっており、それを構造化して整理している。

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