博報堂流、未来の事業のつくり方~出版にあたり盛り込めなかったイノベーションノウハウ~

  • 事業変革

先日、日経BP社より『INNOVATION DESIGNイノベーションデザイン ~博報堂流、未来の事業のつくり方』が発売されました。
博報堂グループのイノベーション創出のプロセスと実際の事例が組み込まれた書籍となっております。
弊社プロジェクトマネジャーの高橋が第1章03、パートナーの清水が第4章の対談に掲載されています。
ぜひお手にとって頂けましたらと存じます。
この書籍出版にあたって、弊社として参画した背景をご紹介したいと思います。
弊社ではイノベーション創出や新規事業開発として様々なフェーズと目的をもったご相談をいただきます。
また、そこで取り上げられる「発想」と「死の谷の超え方」についてが、当書籍における博報堂コンサルティングの参画パートになります。

弊社でお手伝いさせていただく事業開発案件として、4つのご相談に類型できますが、いずれにせよ重要になってくるのが「起案」と「スキーム作り」になります。
特に「起案」に関しては、2018年12月に開催しました ”アートシンキングはイノベーション創出に寄与しうるのか?” で示されたように、デザインシンキング・アートシンキングというアプローチの手法があります。
しかし、書籍において対談させていただいたように、新規事業が立ち上がらない・立ち上げれない『死の谷』を超える方法であったりもします。これら、書籍やセミナーで語れなかったことについて、言及してみたいと思います。

弊社でお手伝いさせていただく事業開発は、その背景も取り組みも、ご相談の段階では定型化しにくいことが多いのですが、具体的な活動にデザインされる際にはおおきく4つのパターンに類型化されます。

■市場開発、事業開発企画系
① 新市場創出やホワイトスペースはどこにあるのか?どうすれば顧客のニーズが見えてくるか?
② ①をふまえた上でどのような事業がありうるか?市場性と収益性は?

■ビジネスモデル開発系
③ ビジネスモデルの設計と事業計画の策定 価格によらず、高くても売れるには?

■ブランディング/事業立上
④ リーンスタートアップのためのブランド構築
⑤ 限られた広告予算の中での露出最大化コミュニケーション設計。PRとプレスリレーションの活用。
⑥ チャネル戦略として自社チャネル(店舗とEC)および流通対策のプランニング

■社内研修/開発プロセス作り/組織作り
⑦ 事業開発プロセスやイノベーション創出プロセスを通じて、イノベーション人材/事業開発人材の育成をしたい
⑧ 事業開発プロセスを伴走することで、社内で起案するフレーム作りをしたい

・・・

そこで

①や②のように、そもそもどのような事業を立ち上げるべきか、というご相談は事業戦略上よくお受けさせて頂きます。これらの検討に関しては、買い手視点(toCの場合生活者視点、toBの場合は経営課題や流通含めた市場視点)にて検討することが多くありました。その延長線上にある考え方がデザインシンキングです。

誤解を恐れず一言でいうのであれば、デザインは2人称アートは1人称である、ということです。

書籍の中でご紹介したIDEEという会社に在籍していたとき、アートとデザインの違いについて、例えばその取扱やお客様への紹介にあたり、深く考える機会がありました。
『アートはあくまで1人称の表現者が自己表現としておこなうものである』
それが流通しマネタイズできるときに、売れるものを作りだすとそれはある意味「アートという商品をデザインする」こと変わる、と個人的に結論付けました。

一方でデザインは、対話です。

『デザインとは、かならず受け手がいて、もしくは受け手を想定して生み出されるモノやコトである』
受け手との対話(空想の相手でも)を通し、なにかの課題を設定しそれを達成することがデザインである、と私は定義しています。
よって、デザインシンキングとは、課題や希望を引き出し、答えを導くものであるのに対し、アートシンキングは自身のなかからやりたいこと、解きたい課題を出してくる、ということといえるのではないでしょうか。

と、長々とアート・デザインという言葉の定義をしましたが、上記を踏まえたうえで
ご紹介したい書籍の第4章は「イノベーションの死の谷」という言葉がタイトルにつけられています。
これは、新規事業だけでなく、多くの企画や構想は、実現する時の様々な「死の谷」によっていわゆる絵餅と化していきます。

この死の谷を越えるために、最も重要なことの一つがアートシンキング的1人称で考え、手を動かす人がいるかいないか、もしくは、人をそういうモチベーションにできるか、であると思います。
多くの新規事業を立ち上げてみて思うことは、「筋のよいアイディアに行き当たることはあるが、続けられる人に出会う可能性は低い」。自分ごととして、自分が実現したいことをどのような障壁があっても立ち上げていく「意思をもてる人」がもっとも重要です。

 

 

ご存知 amazonの「秀逸」なビジネスストーリーです。

この状態から、今のamazonを想像できる人はそうはいないでしょう。もちろん、このビジネスストーリーを導けたこともありますが、それ以上に「アーティスティックな」ジェフ・ベゾスがいたから実現されたといってもいいでしょう。日本の楽天でも創業記では同じようなご苦労をされたことを三木谷会長兼社長もおっしゃっていました。

どんなエクセレント(にみえる)アイディアも、コミットメントするかしないかで大きく成功の確率が変わります。大企業で雇われ、担当になった場合は特にそうです。それを、いかに自分ごと化し、楽しめるようにするか、というところに「トムソーヤ理論」があるのです。(こちらについてはわずかではありますが当書籍で紹介しています。ぜひ書籍をお手にとってご確認ください)

書籍に戻り、もう一つの谷の越え方は、対談相手のQUANTUM井上が言う「自走するチャネル」がみえているか。この場合のチャネルは、流通だけでなくメディアも、広くは商流も含んでいます。
売り先や売れるストーリーをいかに引いておくか。たとえば書籍には反映し切れませんでしたが、PRESS RELEASEに関しても、事実として「発売しました」「○○の特徴を持つ商品です」だけでニュースになるわけも、売れ続けるわけもないことは言うまでもありません。

では一つ目のコミュニケーションチャネルはどうするか。

時間軸で、いつ、どのような話題を提供するか、予めコンテンツを定めておき
さらにどのようなチャネル/メディアでそれをリリースするか、を最低半年先まで設定します。
どのようなコンテンツを継続的にリリースするのか。これをPRと自社HPやメルマガ等で情報発信をすることを設計しておきます。
なお、これは事業としてtoCでもtoBでも変わりはありません。toC事業のほうが広告予算があることが多く、そのためトライ&エラーの中で、再チャレンジや修正がしやすい、という企業文化的な違いがある程度です。

→ 参考コラム BtoBマーケティングにおけるトップアプローチ
→ 参考ソリューション 業界に特化したコンテンツマーケティング

二つ目のチャネルが流通です。商流と物流です。

社内においても、営業にセールスで担いでもらうのであれば、どのようなツールを準備し、既存商材とあわせてどういう提案をすべきか、予め想定し社内への浸透をしておく必要があります。
これは、店舗で販売する、卸す際にも同じです。売り手(自社からみたら買い手)のやるべき・考えるべきセールス・マーケティングにいかにして「乗せるのか」
それを考えたチャネル設計を予めしておくことで、自走する事業となり、死の谷を超え易くなります。

これらの事業企画およびローンチに関して、ご相談例の⑦⑧として社内の研修として、また社外向けアクセラレーションプログラムとして、どのようなプロセスで事業開発をすべきか、評価をすべきか、準備をすべきか、という全体のフレームを『自社のイノベーション人材/組織開発ソリューション』を提供しています。

→ インナーアクティベーションのための事業開発コンテスト 博報堂コンサルティング 栗原
→ アクセラレーションプログラムの立上ディレクション QUANTUM 井上
→ 外部パートナーとの協業プラットフォームの立上と運用 博報堂コンサルティング 清水

ぜひ、書籍をお手にとっていただけましたらと思います。

 

 

——-目次——-

序章 博報堂のイノベーションデザイン
第1章 なりたい未来
対談 不確実な未来を見通すには 宮澤正憲 × ゲルフリート・ストッカー
01 未来の生活者像からのバックキャスティング ──パナソニック「100周年 家電ビジョン」
02 アートシンキングで新たな事業領域を切り拓く ──バンダイナムコグループ×アルスエレクトロニカ「Pacathon」
03 未来を俯瞰することで創発を促す ──トヨタ自動車「未来年表」
04 越境する思考から「創造的な問い」を生む ──恋する芸術と科学
PROJECT 未来の可能性をプロトタイピングする ──東京大学価値創造デザインコンソーシアム
第2章 機会発見
対談 生活者の行動から機会を発見する方法 宮井弘之×篠田裕之
05 先進的な消費行動から5年後のマスを洞察する ──SEEDATA
06 生活者との対話から事業の可能性を見出す ──VoiceVision
07 若者を知ることで未来の市場を知る ──若者研究所
PROJECT 最先端のシーズから未知の可能性を見出す ──Future+Design
PROJECT 「最古×最新」でイノベーションの芽を見つける ──スダラボ
第3章 事業アイデア創出
対談 事業アイデアをどう生み出すか 岩嵜博論×小野直紀
08 誰もが共感する「新しい視点」から発想する ──monom
09 現場から課題を見出しUI/UXの精度を高める ──Cueworks
10 目指すゴールを起点に必要な技術を選ぶ ──JINS MEME BRIDGE
11 競争力のあるコンセプトを実現する ──阪急阪神ホテルズ「remm」
PROJECT 商品や企業の存在意義を問うことを出発点に ──そもそもデザイン推進体
第4章 事業化・実行
対談 イノベーションの「死の谷」を越える方法 井上裕太 × 清水慶尚
12 多様な人材と手段で事業起ち上げを支援する ──QUANTUM
13 コンセプトの純度が事業化の壁を突破する ──Lyric Speaker
14 事業化の障壁を社外の力を利用して乗り越える ──日本製紙「SPOPS」
15 スタッフの発想を変えて新業態へ導く ──キッズデンタルパーク
PROJECT クリエイティブで企業の成長を加速させる ──TEKO
第5章 持続的成長
対談 発明をムーブメントに変えるには 嶋浩一郎×石井朋彦
16 隠れていた欲望の発露をつくる ──本屋大賞
17 コンテンツの持つ可能性を拡げる ──CRAFTAR
18 新しいカルチャーをつくり出し市場を拡げる ──リプトン「Fruits in Tea」
19 企業と生活者が感謝でつながる装置をつくる ──ポカリスエット「インハイ.TV」
20企業の持つデータの可能性を最大化する ──生活者DMP/Querida
21 自販機をデータマーケティングの装置にする ──キリン×LINE「Tappiness」
22 AIチャットボットで人間らしい会話力を再現する ──Spontena
PROJECT みんなの夢舞台に企業の挑戦する姿を重ねる ──ひらけ宇宙プロジェクト
第6章 社会を変えるイノベーション
対談 企業はこれから社会課題にどう向き合うか 近山知史 × 筧裕介 × 野口真理子
23 社会のため持続可能な仕組みをつくり上げる ──ロコモティブ シンドローム予防啓発活動
24 妊婦の不安を解消し診察を効率化する ──妊婦手帳
25 みんなの声で働き方のカルチャーを変える ──Google「♯HappyBackToWork」
26 音を通じて子どもの能動的な学びをデザインする──NHK Eテレ「オトッペ」
27 ファンを事業のパートナーにしていく ──市立吹田サッカースタジアム(現:パナソニックスタジアム吹田)
PROJECT 社会課題の解決とビジネスの両立に挑む ──bemo!
PROJECT 地域の人、モノ、コトを結んでうねりをつくる ──Local.Biz

■グローバル領域におけるイノベーションデザイン
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