ABM時代のデジタルマーケティング ―BtoBマーケティングにおけるデジタルとチャネルの活用

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本格的なデジタルマーケティングツールである第3世代の「マーケティングオートメーション(MA)」ツールが2015年を境に日本語対応化し、ここ2年近くでSalesForce以来のツール導入が進んでいます。また、ビッグデータという概念の具体化に貢献したDMPの構築も進んでいます。DMPは、「見えなかった顧客」を探し、コンタクトするための仕組みです。さらにパブリックDMPの活用により、顧客の属性情報をアンケート等により直接入手せずとも利用することができるようになりました。

いずれの仕組みも、個々の顧客情報を入手し、営業訪問といった直接のコンタクトによって契約をとることをゴールとしていますが、改めてそれらのツール類がどのように進化してきたのかを振り返ってみましょう。

マーケティングの歴史を紐解くと、定量調査によって自社製品サービスに興味がありそうな属性・業種・役職などを導き、その人たち「集団」が興味ありそうなコンテンツを、情報収集をしそうな接点(雑誌やイベント、TV等)に展開することで、認知や興味関心を獲得しようとするマスコミュニケーション(マスマーケティング)や、業界や企業規模などからニーズを類推し、営業マンが行う訪問営業など、あるカタマリが顧客であるだろうという仮説の元にコンタクトをとることを活動の主としてきました。よって、個人情報収集や購入意向の高さ(ホット度)は、主に名刺交換とヒアリング、もしくはアンケートに頼っていました。

それがデジタル(インターネット)によって、「特定キーワードで検索した」「サイトにアクセスした」といった活動情報から、仮説ではない情報を基にコンタクトできるようになったのが、オンライン広告であるリスティングやリマーケティングです。これらにより、より確度の高い「顧客になりそうな人」を選び、コンタクトできるようになりました。しかし、それでもなお、個人情報やまして購入の検討度や予算などの情報(LEAD)については、あらためてオンライン上でアンケートをとる必要がありました。

これを打開しようとしたのがマーケティングオートメーション(MA)ツールです。購買における検討の「本気度」や「購入のタイミングまでの近さ」を、顧客の行動(HPへのアクセス、資料のダウンロードやセミナーへの参加、見積シミュレーション実施の有無等)のどれがより購入プロセスにおいて重要であるかユーザーシナリオとして規定し、どの活動がより購入に近いのか、という仮説を立てることで「スコアリングルール」という重みづけを行う。そしてその結果、一定以上のスコアに至る活動をした人を「ホット客=検討度がより高く本気で検討している人」だと判断し、オファー提示や営業訪問をしてもよい、とする。つまり手間や費用をかけるに値する人であるということを、アンケートの代替手段として客観情報で判断する仕組みです。

さらにMAは、オファー(メールやリマーケティング)を自動化することで、より購買確度をあげるリードナーチャリングをも行う仕組みになっています。つまり、誰が顧客になりそうか?その人は購買のどの段階にいるか?を分析し、さらに購買確度をあげるための施策を自動で実施できるようになったのです。そのため大変関心を持たれ、この2年で導入が進みました。

しかしここで改めて2つの課題が浮き彫りになってきました。

1つ目は、オンライン広告やMAを導入しても、投げかけるオファーや提案といった「コンテンツ」が顧客のニーズや興味関心と合っていないと全く効果をなさないということです。
マス広告やオンライン広告では、「クリエイティブ」テストやブランディングといったこれまでBtoCで用いられてきた手法で、自社の製品について「何を伝えるか」「どう表現するか」といったことを、顧客がそのコンテンツに接したときにどのような反応をするだろうかという視点で試行錯誤しています。
一方で、これまでそういったコミュニケーションを行わず、おもに訪問型の営業活動から、いきなりMAを導入した企業は、どのようなコンテンツをどのようにオートメーション化して伝えていくのか、という設計をきちんと行わずに、MAを導入すれば引合(LEAD)を増やせると思い込んでしまったのです。

2つ目は、これまでのデジタルの施策は主に「個客」に対してのものでした。一方で製品のサービス化などモノ売りからコト売りに提供するものが変わってきた市場環境と、そもそもBtoBの購買は、購買プロセスにおいて関与者が多い・プロセスが長いという特徴をもつため、企業として買ってもらうためには、個別に個人にコンタクトしても購入してくれる確度が低くなってしまいます。
よって、改めて営業マンが行っていたような、顧客企業に通い、さまざまな部署を紹介してもらいながら課題を聞き出し、キーパーソンを見つけ出し営業を行う「アカウントマーケティング」の考え方に立ち戻りました。それをデジタルで実現する方法が、アカウントベースドマーケティング(ABM)テクノロジーです。
ただ、ABMをデジタルで行うためには、個客に対してより多層の指標やプロセスの設計を行う必要があり、より詳細な顧客の購買行動(カスタマージャーニーやユーザーシナリオ)を仮説立てることが重要になります。


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