<第9回>生活者パラダイムの転換 ― シニア・子供夫婦・孫の3世代消費

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日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超えました。仮に60歳で引退したとして、残りの人生がまだ20年以上もあるということになります。かと言って、今から新しい趣味を始めたり、友達を作ったりするのもなんだか億劫。そんなシニアがどんなことに対して消費意欲を持つかと言えば、やはり子や孫たちのためのものでしょう。これを「3世代消費」と言い、三菱総合研究所の試算によれば、その市場規模は約3・8兆円にも上るということです。前回の本コラムでは、訪日外国人によるインバウンド消費が約2兆円ということに触れましたが、3世代消費はさらにその倍近くという規模です。

その内訳を見てみると「旅行」や「プレゼント・お祝い」などが主な項目となり、シニアが自分たちだけでなく、子や孫たちと楽しい時間を共有できるようなものが多いようです。一方、子供夫婦にとっても、両親からの経済的な支援は助かるというのが本音ではないでしょうか。今後、少子高齢化が進行するに従って、この市場はさらに拡大していくことが予想され、あらゆる企業にとって無視できない分野となるでしょう。

グラフ: 3世代消費の内訳(億円)

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その際、マーケティングの観点でポイントになってくるのは、シニア・子供夫婦・孫という3者それぞれの異なるニーズにいかに応えるかということです。世代も立場も異なる3者のニーズは大きく異なり、例えば旅行であれば、食事の好み、部屋のタイプ、アクティビティの種類など、さまざまな要素を考慮する必要があります。あるいはプレゼントであれば、シニアはどれを選んでいいかわからないので、子供夫婦に選んでもらって、支払いだけをシニアが負担できるようにする仕組みが求められるかもしれません。

3世代消費が拡大することによって、孫も含めた世代間の交流が深まるということ、またそういう機会や場が増えるということは、生活者にとっては望ましいことです。この分野でも、マーケティングによってシニア、子供夫婦、孫の3者に幸せをもたらす、斬新な製品やサービスが生まれることを期待したいところです。

(文化通信 2015年10月19日号掲載)
本連載は文化通信に寄稿した内容を転載しております。

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