<第7回>生活者パラダイムの転換 ― 複雑化する現代女性のライフコース

HCI広報

HCI広報

  • マーケティング

最近、女性の働き方に関するニュースを頻繁に目にするようになりました。今後ますます女性の価値観の多様化が広がっていくのは間違いなさそうです。
さて、このような女性にまつわる社会の動きをマーケティングの視点で捉えると、どのようなチャンスがありそうかを考えてみたいと思います。

図: 女性のライフコース

生活者パラダイムの転換⑦チャート

 

図は、学習院大学の青木幸弘教授が唱える「女性のライフコース」です。これを見ると、男性のライフコースよりもはるかに複雑なことは明らかで、一口に「この製品のターゲットは20~30代女性」などと言ってもいかに幅があるかがわかります。また、ライフコースのどこのステージに位置するかによって、「娘」「職業人」「妻」「母」など役割のバランスも微妙に変化していくことも、多様性をより一層複雑にしています。

さらに青木教授は、このように極めて多様な現代女性の消費行動について、共通する三つの深層ニーズを提示しています。
第一の「自分づくりニーズ」は、資格取得などでスキルアップをしたり、SNSで自分の「リア充」(リアルな生活が充実)ぶりをアピールしたりするなど、自分を高めたい、よく見せたいという気持ちに由来するニーズです。
第二の「切り替えニーズ」は、複数の役割を持つ女性が自分のモードの切り替えスイッチを押すきっかけがほしいというニーズで、リフレッシュのための旅行、自分へのご褒美、プチ贅沢などが挙げられます。
第三の「備えづくりニーズ」は、自分のライフコースの将来への不安を払拭したいというニーズで、マンション購入や医療保険への加入などによる家計や健康に関する備えであり、特に近年増加している生涯未婚女性に多い傾向があると考えられます。

消費社会や文化を牽引する女性は、あらゆる企業にとって重要なマーケティングターゲットであることは間違いありません。ただし、事業者としての視点だけでは現代女性のニーズはなかなか捉えきれなくなっているため、ライフコースに基づいた生活者視点によるマーケティングが不可欠となっています。

(文化通信 2015年8月24日号掲載)
本連載は文化通信に寄稿した内容を転載しております。

WITHコロナ時代の新しい企業と従業員の関係構築のありかた ~業界別・年代別に見る従業員の意識変化とは~

WITHコロナ時代の新しい企業と従業員の関係構築のありかた ~業界別・年代別に見る従業員の意識変化とは~

顧客視点(CX)と従業員視点(EX)の複眼で策定する企業の危機突破シナリオ

顧客視点(CX)と従業員視点(EX)の複眼で策定する企業の危機突破シナリオ

World's Best Bankの成功例に見るDX実現~顧客体験価値を向上させるUI/UX〜

World's Best Bankの成功例に見るDX実現~顧客体験価値を向上させるUI/UX〜

顧客データ利活用実態レポート ~顧客データの自社活用から情報銀行・PDS事業化への各社方針~

顧客データ利活用実態レポート ~顧客データの自社活用から情報銀行・PDS事業化への各社方針~

社会貢献と事業成長は両立できるのか? ~社会課題の解決を通して新市場を開拓する3つのステップ~

社会貢献と事業成長は両立できるのか? ~社会課題の解決を通して新市場を開拓する3つのステップ~

お問い合わせ

オススメ記事

業界関連記事

人気記事

コラムカテゴリ