<第3回>生活者パラダイムの転換 ― 変わりゆく日本の家庭像

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お父さんとお母さん、そして子供たちが食卓を囲んでテレビを見ながら談笑している。まるで山田洋次監督の映画にでも出てきそうな幸せのワンシーン。「家庭」や「家族」と聞いたときに多くの日本人、とりわけ昭和生まれの方々が思い浮かべるのはそんなイメージではないでしょうか。

しかし、このような家族像というのは、実は数の上ではもはや少数派となっています。国勢調査のデータを確認してみましょう。

グラフ: 家族類型別世帯構成比の推移

文化通信連載③_グラフ

 

1980年には「夫婦と子世帯」が多数派だったのが、2010年には見事に逆転されて「単独世帯」が多数派に躍り出ています。15年のデータは予測値ですが、これからこの傾向がより拡大していくのは間違いないでしょう。さらに、「単独世帯」と「夫婦のみ世帯」を合わせると、10年時点で半数を超えています。つまり、今の家庭というのは高齢者など大人ばかりで、子供がいる世帯の方がめずらしいという状況なのです。

この事実は、広告制作や商品開発の分野に対しても極めて大きな影響があります。生活者が今も引きずっている過去のイメージに合わせるべきか、それともリアルな現実に合わせるべきか。広告制作の場合は、たとえ非現実的であっても、あえて憧れのイメージを描くということが効果的な場合もあるかもしれません。

一方、商品開発の場合は、生活者の実態に合わせた製品仕様やサービス設計が不可欠になります。例えば、外食業界の場合は、既に「おひとりさま」向けの焼き肉屋なども存在しており、今後もこのような市場は拡大することが考えられます。また、自動車業界の場合は、比較的高価で燃費の悪いファミリーカーよりも、小回りの利く軽自動車、あるいは将来的には電気自動車などが、「単独世帯」や「夫婦のみ世帯」に支持されていくかもしれません。

かつて博報堂生活総合研究所が「多世帯社会」というコンセプトで、世帯構成の多様化が進むことを示唆したのは、いまからおよそ10年前の06年のことでした。その世界がいま、まさに現実のものとなっているのです。

(文化通信 2015年4月20日号掲載)
本連載は文化通信に寄稿した内容を転載しております。

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