組織心理学視点から考察する「企業理念の浸透と組織文化のつくり方」~オンラインセミナーのご案内~

依田 真幸

依田 真幸

  • 組織改革・人材育成

「パーパスを策定し、社員の求心力をあげたいが、どのように浸透させていけばいいかわからない」「イノベーション創出やDXに向け、組織を活性化したいがうまく進まない」などといったお悩みをお持ちではないだろうか。また、それには各々の社員が自ら考え、自ら率先して行動を起こすこと、すなわちボトムアップで組織を活性化していくことが重要だと理解してはいるものの、本当にそれでうまくいくのか部下を信頼しきれず踏み切れない、という企業も多いのではないだろうか。

これらの解決に向けた実証実験において、ボトムアップの組織変革を後押しする「社員間で共有したい価値観や信念」は、社員が日々交わす「称賛」を活性化・把握するとともに、各社員が選ぶ最も組織に貢献した人”MVP“を把握することによって可視化されるという示唆が得られた。今回のセミナーでは、その詳細に加え、心理学的視点を踏まえた具体的な進め方の仮説をご提示する。

 

1.ボトムアップの組織変革

イノベーション組織への変革に向けて、ボトムアップで組織を活性化していくにはどうすればよいか。まずは、社内のコミュニケーションを、従来のようにトップダウンで上からの指示に従うようなタテのコミュニケーションから、組織の枠組みを超えたタテ・ヨコ・ナナメのコミュニケーションへと変えていく必要がある。組織づくりを“マネジメント(トップダウン)型”から“エンゲージメント型”へ転換させるのである。これには、分断化された組織をつなぐ横のつながりを作ると同時に、風通しの良い組織風土改革を推進していくことが必須ではないだろうか。そして、この“エンゲージメント型”組織におけるタテ・ヨコ・ナナメのコミュニケーションのサイクルを回すきっかけとなるのが「称賛」なのではないか。

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このような仮説に基づき、博報堂コンサルティングでは、BIPROGY、博報堂とともに、称賛文化と企業パーパスの浸透を可視化する「PRAISE CARD」を開発、複数の企業において実証実験を進めている。

 

PRAISE CARDとは~

従業員同士が専用のスマホアプリを用いて、日頃の協力や行動に対する称賛・感謝の気持ちを、デジタルカードで贈り合うことができるサービス。デジタルカードに企業のクレドやバリューを記載し、それらに沿った行動に対する称賛・感謝のメッセージを通じて、社員のモチベーションの向上や連帯感の醸成に加え、クレドや共有価値観への理解を促進し企業文化に根付かせることができる。

(詳細はこちらの記事をご参照ください)

 

ある企業におけるPRAISE CARDを用いた実証実験においては、下図に示す通り、アンケート回答者の62%がブランドバリューの内容を理解し、そのうちの半数は納得感を持ち、日々の業務への反映にも繋げている。そして、その回答者のうち約4割がパーパス・ブランドバリューの理解にPRAISE CARDの利用が有用だったと感じている。すなわち、カードを用いて社員同士が互いを称賛しあうことが、パーパスやブランドバリューの理解に効果的だという結果が出ている。

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さらに、実証実験の結果を、従業員の心理・行動やマネジメントの研究を専門とされている東京女子大学の正木郁太郎氏に分析していただいたところ、興味深い気付きが得られた。

2.理念の浸透を可視化するカギとなるか!?社員間で共感したい価値観を浮かび上がらせる「MVP」

そもそも、パーパスや経営理念、ブランドバリューとは、成文化された価値観や信念であり、その価値観や信念を組織に浸透させていくというのは、主にオーナー目線によるトップダウンの取組である。一方で、社員の中にも行動の軸となる価値観が存在している。それが組織文化である。それはその組織の中で重視されている価値観や考え方の前提に基づく行動の集積であり、いわば集団現象である。すなわち、ボトムアップでパーパスや理念を浸透させていくには、ボトムアップの価値観である組織文化を把握することも非常に重要ではないかと正木氏は言う。

この考えに基づき、ある企業におけるPRAISE CARDの実証実験において、「MVPカード」を導入してみることとなった。パーパスや経営理念に基づき互いを称賛する通常のカードのほかに、期間内の「MVP」を称賛するカードを使用し、MVPカードを受け取る社員は日頃どのようなことを称賛されているのかという傾向を把握しようというのである。

その結果、この企業においては、社員が「MVPだ」と評価する人は日頃、特に次のような特徴を称賛されているということがわかった。

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MVPをもらった人が称賛されている特徴

1)未来志向

2)チャレンジ

3)ポジティブさ

4)共感

 

この傾向が把握できれば、社員にとって特に大事な価値観とその優先順位をある程度可視化することが可能であると考えられ、ボトムアップでのパーパス・理念の浸透をさらに後押しすることが可能になる。

これらの結果を踏まえ、正木氏はさらに「重要なのはステップではないか」と仮説立てる。

組織心理学の観点から提示される、組織に称賛文化を根付かせ、ボトムアップによるパーパスの浸透・組織変革を実現するために重要となるその仮説とは。

詳しくは、下記のオンラインセミナーでご紹介する。

ご興味のある方は、ぜひ下記の申込フォームよりお申込み・ご参加いただきたい。

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正木 郁太郎 氏

東京女子大学 現代教養学部 心理・コミュニケーション学科専任講師・博士(社会心理学,東京大学)
職場のダイバーシティ・マネジメントや、働き方やオフィス環境と心理・行動など、働く人の心理・行動やマネジメントの研究を専門とする。PRAISECARDが組織にもたらす影響について、共同研究を行っている。

 


―本内容を詳しくご紹介するセミナーを実施いたします―

<オンラインセミナー概要>
組織心理学視点から考察する「企業理念の浸透と組織文化のつくり方」


【日 時】2022年9月16日(金)16:00-17:00
【ツール】ZOOM(お申込み時は法人メールアドレスでご登録ください。ご参加時にメールアドレスでログインいただきます)
【登壇者】
東京女子大学 心理学専攻 専任講師 正木 郁太郎 氏
BIPROGY株式会社 グループマーケティング部 ビジネスアクセラレーション室 奥村 将 氏
株式会社博報堂コンサルティング プロデューサー 依田 真幸

※こちらのセミナーは終了いたしました。

 

※本セミナーのお申込みにつきまして、博報堂および博報堂DY ホールディングスグループのNDAおよびレギュレーションにより、セミナーのご参加をお断りさせていただく場合がございます。予めご了承ください。

 


 

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