WITHコロナ時代における企業と従業員の新たな関係構築のありかた ~業界別・年代別に見る従業員の意識変化とは~ レポートリリースのご案内

鈴木 雅陽

鈴木 雅陽プロジェクトマネジャー

栗原 隆人エグゼクティブマネジャー

  • 組織改革・人材育成
  • 事業変革

コロナの影響により、企業は就業環境の変革を余儀なくされた。リモートワークをはじめとする業務のデジタル化は、アフターコロナにも定着すると見られているが、一方で、リモート環境により見えづらくなった“従業員のホンネ”を理解することの重要性が増している。コロナ禍を受けて、従業員の意識や行動はどう変わったのか。当社では、独自に実施した「従業員ロイヤルティへの影響調査」の結果に基づき、企業と従業員の新たな関係構築の方向性を探り、その内容をレポートとしてまとめた。

<レポート>Withコロナ時代の従業員の意識変化レポート
Chapter1. 従業員意識調査の概要
Chapter2. 従業員意識の実態(全体傾向)
Chapter3. 従業員意識の実態(業界別)
Chapter4. 従業員意識の実態(年代別)
Chapter5. 博報堂コンサルティング概要

 


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<レポートサマリー>
業界別/年代別に見る、従業員意識とアフターコロナの組織課題とは

コロナにより一変した社会環境において、企業競争力の源泉である人材の活用を通じ、企業価値を向上していくにはどうすればよいのか?アフターコロナにおいて求められる組織・人材マネジメントのありかたとは?この問いに対する答えを探るには、まず、従業員の就業意識や就業環境、行動の変化を把握することが必須である。コロナ禍を受けて、従業員の会社に対する愛着度や帰属意識はどう変わったのか。従業員が期待している働き方とは、どのようなものか。それを踏まえて、企業と従業員の関係性は、どのように変わっていくべきか。

これを探るべく、当社では、WITHコロナ下での従業員意識・態度について、独自の調査を実施した。その結果のうち、全体傾向については前回のコラムで述べたとおりだが、今回は具体的にどの業界/年代に対し、どのようなアラートが鳴っているのか、という分析内容の一部をご紹介する。ぜひ、ご自分の会社や業界と照らし合わせつつ読み進めて頂きたい。

調査は、当社独自の従業員意識査プログラム「シャインサイトサーベイ」を活用して行った。シャインサイトサーベイは、「従業員エンゲージメント」「企業やトップとの関係性」「業務や周囲との関係性」「環境・自己評価」といった4領域、8要素の質問から、社員一人ひとりが感じている不安や悩みを把握し、企業と社員の間で起きている組織の課題を抽出し、最適な解決方法を提供するサービスである。

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調査結果によると、全体的な傾向としては、会社への愛着度はやや増加となっていた。しかし一方で、その他の項目は軒並み減少しており、特に「会社のために何かをしよう」と思う行動意欲の減少が顕著だった。これを、業界別・年代別に見ると、以下のようになる。

<従業員意識の実態(業界別)>

今回の調査では、「建設業」「製造業」「生活インフラ業(電気・ガス・熱供給・水道)」「情報通信業」「運輸業、郵便業」「卸売業、小売業」「金融業、保険業」「不動産業、物品賃貸業」「サービス業」の9

業界につき、コロナ禍の影響を受ける前後となる2020年3月・4月で、各項目について従業員の意識がどのように増減したのかを抽出した。ここでは、そのうち2つのカテゴリーについてご説明する。

1.会社やトップへの信頼が危ない建設業、運輸業・郵便業。会社の将来への不安が募る運輸業・郵便業、サービス業

まず、企業やトップとの関係性について見ると、会社やトップに対する認識の増減が目立ったのは情報通信業と生活インフラ業だ。これは、トップの対応の良さに加え、コロナの影響を大きく受けなかった業界だということもあるだろう。一方で、建設業や運輸業・郵便業は、「社員の感染リスクよりも利益優先の方針を出した」などのコメントもあるように、コロナの影響に対する会社やトップの対応に対する不満や不信により、従業員の信頼が大きく下がっている。

また、会社の将来に対する認識は、コロナ禍でも仕事が減らず売上も維持されている情報通信業に対し、運輸業・郵便業やサービス業が、「コロナの影響で運輸の必要性が低下するため先行き不安」と大きく不安を募らせている。

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2.業務環境変化の対応に遅れる建設業、金融業・保険業。組織としての対応に課題の見える生活インフラ業、製造業

次に、業務や周囲との関係性について見ると、仕事を通じた達成感や成長機会の実感や仕事環境に対への意識を示す「仕事に対する認識」について、生活インフラ業や情報通信業は、テレワークなどを柔軟に取り入れることができ、評価を維持している。一方、金融業・保険業は、社内のシステムインフラの問題に企業が対応しきれていなかったり、建設業は従来の働き方との変化により、仕事の達成感の減少やストレス増に戸惑っていたりなど、業務環境の変化に上手く対応できず、従業員からの評価を落としてしまっている傾向が見られる。

また、上司や同僚など組織との関係性を示す「組織に対する認識」は、金融業・保険業がWeb会議などを上手く取り入れることで、これまでと変わらない状態を保っているのに対し、生活インフラ業や製造業では「テレワークになって上司からの干渉が増えた」、「在宅勤務により窓際族が明確化された」、など、新しい働き方に組織としてうまく対応できていない傾向が見て取れた。

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<従業員意識の実態(年代別)>
仕事や組織に前向きになれない30代、新たな働き方に課題を抱える40代~50代

年代別では、20代、30代、40代~50代という3つの世代ごとの3月と4月のスコアを比較している。これを見ると、まず、会社に対する愛着度の高い40代~50代に対し、愛着度の低い20代、30代という構図が特徴的だ。

また、全体を見ると、20代は各項目において概ね3世代の中央付近におり、コロナ前後での増減もあまり見られない。これは、20代は組織の中でまだ重要な役割を担うに至っていないため、もともと会社への貢献の意識も強くなく、それがコロナ禍でも大きく変わらなかったことによると考えられる。

反対に、40代~50代は各項目が総じて高いスコアとなっており、組織の中でもある程度責任ある立場にいる可能性が高く、コロナ前後での行動意欲の低下がほとんど見られない。ただし、その分、業界を取り巻く環境の変化には敏感になり不安を感じているほか、仕事や組織に対する認識のスコア減少が大きく、テレワークなど新しい働き方への対応に課題が生じている可能性も見える。

一方30代は、各項目において最下方に位置しており、今回を契機に、さらに意欲が落ちてしまっていることがわかる。コメントを見ても、テレワークで互いが見えないゆえに自分だけが働いているという錯覚を感じている、在宅勤務となり仕事のやりがいや達成感を感じる機会も減った、仕事と家族の向き合いを考えるきっかけとなった、など、職場のメンバーとしての帰属意識が失われ、会社や組織のための行動意欲が低下した傾向を見て取れる。本来、成長が期待され、これから組織の中核を担っていくはずの中堅社員の不燃化は大きな課題と言えるだろう。

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「画面の向こう」で起きている従業員意識変化の兆し

これらの調査結果から見えてきた、「画面の向こう」で起きている従業員意識変化の兆しについて、以下の4つに分類することができる。

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一つ目は、経営陣の対応への不満・不信が募る「会社への信頼欠乏」パターン。業界では建設業、運輸業・郵便業が特に兆しを見せており、企業はこの問題に上手く対応しなければ、社員がいますぐに辞めなくとも、組織の中でのネガティブ思考が増えていく土壌形成につながっていってしまう恐れがある。

二つ目は、企業とビジョンの未来が見えない「ビジョン乱視」パターン。業界では運輸業・郵便業やサービス業、次いで製造業が特に兆しを見せており、また年代では30代が特に兆しを見せている。将来が見えないからこそ、拠り所となるビジョンを求める傾向が推察される。

三つ目は、帰属意識の低下や仕事の無力感に伴う「不燃化・ぶら下がり化」パターン。業界では、建設業や金融業・保険業、次いで卸業・小売業が特にこの兆しを見せており、また年代では30代が特に兆しを見せている。企業はこの問題に上手く対応しないと、与えられた仕事のみをこなす社員が増え、また意欲ある人材は転職してしまう可能性が推察される。

四つ目は、環境変化や組織の分断化に伴う「働き方失調」パターン。業界では生活インフラ業や製造業が特に兆しを見せている。お互いに顔が見えなくなり、個々人の異なる働く環境や事情が見えなくなった結果、不寛容さが増し、本人も気づかない内にストレスがたまり、社内関係が悪化しつつある可能性が推察される。

今、企業がとるべき打ち手とは

では、このような状況を受けて、企業はどのような取り組みをすべきだろうか。

これらの調査結果から見えた従業員意識変化に対する打ち手については、次回のコラムにてセミナーレポートと併せて紹介する。

 


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