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「PURPOSE経営の実践ケース~事業としてのSDGs取組とブランディング」レポートと事例のご紹介

新型コロナウィルスの影響により一変した社会環境の中、生活者の価値観は変化した。中でも特徴的なのは「これからも自分や社会にとって必要か」という思考だ。これはそのまま、企業や製品・サービスの選択がPURPOSEやSDGs取組への共感やESG投資の広がりなどにつながってきているといえる(※1)

この潮流に対し企業は何に取り組むべきか。CSRやCSVからPURPOSE経営への進化、そして “SDGs取組フレーム”と事例をご紹介するレポートをリリースする。また、先行してその概要と事例を紹介するセミナーを実施する。


レポート目次:
「PURPOSE経営の実践ケース~事業としてのSDGs取組とブランディング」

1.カンヌライオンズ2015で見られた萌芽
2.企業評価の基準はなぜ変化しているのか?変化の背景とは
3.これからの企業成長に必要な条件とは何か?
4.企業は具体的にどう取り組むべきなのか

1.カンヌライオンズ2015で見られた萌芽

社会・環境の持続性を重視する動きは、年々加速している。米国では、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けて声を上げる「ジェネレーションZ」と呼ばれる世代が登場した(※2)。昨年大きく取り上げられた、16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリさんによるSDGsについての演説は記憶に新しい。また、急激な広がりを見せるESG投資は、2018年で2兆ドルとなり、2014年比較で300倍以上の規模になっている(※3)。つまり、投資先としても、社会・地球環境の持続性にいかに貢献するかということが非常に重視されているのだ。

では社会・環境の持続性への貢献に企業が取り組むとは、一体どういうことなのか。その萌芽は、2015年のカンヌライオンズで示された(※4)

カンヌライオンズは、世界最大級の規模を誇る広告賞である(あった)。かつては「カンヌ国際広告祭」の名称で開催される広告クリエイティブの大会だったが、今は「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」と名称を変え、オンライン/オフライン問わず広くビジネスにおけるクリエイティビティ溢れる活動を表彰するものになっている。その中でもSDGsやGlass(ジェンダー)テーマに関するアワードが広告クリエイティブと並列する大きなカテゴリとなっている。

グラフィックやキャンペーンなどのクリエイティブの評価と同等、あるいはそれより大きなテーマとして、企業の持続的な社会の実現が「クリエイティブである」と評価されているのだ。

2015年のカンヌライオンズでは、「Purpose」という言葉がホットなキーワードだった。Purposeとは「存在意義」と訳せる。社会における自社の「存在意義」を見つめ直し、その「存在意義」を中心に据えたコミュニケーションやビジネスクリエイティビティを考えるという動きが、2015年の時点ですでに現れ、そして評価される状況にあった。そして、その年に国連にてSDGsが採択される。2015年はPURPOSE経営元年であったのだ。

2.企業評価の基準はなぜ変化しているのか?変化の背景とは

では、この「Purpose」という言葉が当時出現し、そして今もなお重視されているのには、どのような背景があるのだろうか。

かつては、企業や業界、テクノロジーが牽引する世の中だった。例えば、産業革命の時代には、蒸気機関の発明や電気の利用によって産業構造自体が変わり、人々の生活が変わった。テクノロジーが社会を変えていた。

今は、生活者が自分たちの体験の中で、世の中はどうあるべきかというイニシアティブを握っていくような社会になりつつある。これにより、企業の競争は「他社との差別化」ではなく、「生活者の価値観に合わせて企業がいかに変化するか」になった。

「Purpose」が注目されるようになった背景には、大きく2つの変化が挙げられる。

1つ目の変化は、生活者の価値観の変化だ。かつては「物質的豊かさ」、つまりモノを手に入れることに価値があるとされていたのが、「精神的豊かさ」へと変わってきた。例えばトヨタのクラウンは、「いつかはクラウン」というキャッチコピーを用いてクラウンを持つことへの憧れを表現していたが、近年は「FUN TO DRIVE AGAIN」というキャッチコピーで「運転を楽しもう」と、モノを持つことではなく精神的な豊かさを訴求している。

2つ目の変化は、企業の差別性がソフトからハードへと変わったことだ。例えば自動車業界では、従来、車体を作る会社が非常に力を持っていたが、今では自動運転のソフトウェアやプログラムを作れる会社が注目されている。また、Appleはスマホ本体のハードは外部委託で製造し、中のソフトを自社で手がけて、どのようなサービスや体験で顧客を満足させるか、という部分で差別化を図っている。

このように、「生活者の価値観の変化」「企業の差別化の方向性の変化」という大きな2つの変化により、従来のような「モノを売る」という枠組みに囚われず、「生活者にとって精神的に豊かな生活」を支援できる企業が選ばれる時代になっているのである。

sdgs_20200816_1図1.変わる生活者の価値観と企業の差別性

3.これからの企業成長に必要な条件とは何か?

では、「豊かな生活を支援」できる企業とは、どのような企業なのか。

従来、企業活動とは「いかに利益を上げるか」を目的に行われてきた。利益を上げるためには、生活者に選ばれて売上を上げる必要があり、そのためにどうやって競合と差別化するか、ということが重要視されてきた。つまり、差別化競争上の勝利が利益拡大につながり、それを実現することが企業成長の条件であると考えられてきた。

しかし今は、解決したい課題に対する解決手法が増え、「モノ」である製品の競合は「モノ」に限らなくなった。競争が激化することにより、差別化も難しくなり、新しい解決手法が出てもすぐに模倣され、生活者には選ばれにくく定着しにくい。その結果、利益を上げることが困難になっている。

このような状況を打開するために、まず必要なのは、「自社発想」から「世の中発想」への発想の転換だ。自分たちがどうやって競争に勝つか、ではなく、どうやって世の中に必要な価値を届けるか。その価値を届けることにより、世の中がよくなり、結果的に自社が世の中から期待され、また価値を届ける。このサイクルを回すことが非常に重要である。

sdgs_20200816_2図2.事業における支店の変化

ただし、世の中をよくすればそれだけでいいのか、というと、それも違う。企業はあくまで利益を上げ事業拡大していく必要があるし、今のコロナ禍のような状況下では特に、雇用を守り賃金を支払うことも企業の大切な役割である。従って、世の中に必要な価値を届けることにより世の中から評価されるという「社会価値創造」のサイクルと、同時に、それによってビジネスとして利益を得て、その利益を事業拡大や開拓に使ってまた価値を届ける、という「ビジネス創造」のサイクルの両輪を回していくことが、企業の持続可能性を高めることにつながるのである。

sdgs_20200816_3図3.社会価値創造×ビジネス創造の両輪を回す

 

すなわち、これからの企業成長に必要なことは、「いかに世の中に必要な価値を届けるか」という社会価値を創造し、世の中の発展に貢献することで、それが差別化につながり、生活者から選ばれ、結果的に利益が上がるという仕組みを作ることなのである(図3)。

このような考え方は、実は今に始まったものではない。2010年にはフィリップ・コトラーが「マーケティング3.0」で“世界をよりよい場所にする“という「価値観主導のマーケティング」を、2011年にはマイケル E. ポーターが「Creating Shared Value(共通価値の戦略)」で経済的価値と社会的価値の「共通価値の創造」を提唱している。さらに遡ると、渋沢栄一の「論語とそろばん」や、古くは江戸時代の「三方良し」など、昔からある考え方に改めて今また戻ってきたと言うことができる。

4.企業は具体的にどう取り組むべきなのか

このような動きに対し、企業が行うべきことは何か。それは「社会における自社の存在意義を真摯に貫く経営をすること」である。これまでの企業活動のように「経済価値」を追求するだけでなく、「社会価値」や「環境価値」の創出にも貢献する必要が生じている。冒頭にも取り上げたSDGsには、「経済」「社会」「環境」の3つのテーマに基づき、17のゴールと169のターゲットが存在している。すなわちSDGsの各テーマは、PURPOSE経営において企業が生み出すべき「経済価値」「社会価値」「環境価値」とリンクすると言える。さらに、その3つの価値を背反せず実現していくための企業統治(Governance)が有効に機能している「ESG経営」も、企業が果たすべき責任の一つである。

しかしながら、実際に企業がSDGsに取り組むには、具体的にどのようにすれば良いのか。先行している企業は、どのような取り組みを行っているのか。

SDGsを推進している国連グローバル・コンパクトは、「取り組みの目的」と「取り組みの位置づけ」の2軸で事業活動におけるSDGsの取り組みを整理している。これを具体化するために、博報堂コンサルティングと博報堂SDGsプロジェクトでは、以下の図のように象限の意味合いを再定義し、“SDGs取組フレーム”を定めた(図4)。

sdgs_20200816_4図4.再定義された“SDGs取組フレーム”(※5)
SDGsを推進している国連グローバル・コンパクトは、「取り組みの目的」と「取り組みの位置づけ」の2軸で事業活動におけるSDGsの取り組みを整理

この定義を具体化する企業各社の事例と取り組みの意図、そして、PURPOSE実践に向けた取り組みの検討手順については、レポート「PURPOSE経営の実践ケース~事業としてのSDGs取組とブランディング」にまとめている。ご興味のある方は、以下のセミナーにもぜひお申込みいただきたい。

 


―本内容を詳しくご紹介するオンラインセミナーを実施いたします―

<オンラインセミナー概要>


“SDGsへの取り組みでブランド力を高めるには”

「PURPOSE経営の実践ケース~事業としてのSDGs取組とブランディング」レポートと事例のご紹介

SDGs取組・ESG対応としてよりインパクトがあるテーマや取り組みを行いたい、
いまの取組もっと有効に活用したい/活動に落とし込みたい方へ

日時:2020年8月27日(木)16:00~17:15
ツール:ZOOM(お申込み時は法人メールアドレスでご登録ください。ご参加時にメールアドレスでログインいただきます)
登壇者:博報堂コンサルティング パートナー 清水 慶尚
    博報堂コンサルティング パートナー 森門 教尊

1部 : PURPOSE経営とSDGs取組 その全体像と取組をフレームと事例で解説する
2部 : PURPOSE経営の実践 ブランドマネジメント手法による取組の活性化
3部 : 対談 (グローバル展示会などから見る潮流/ブランディング活動支援からの取り組み方)

◆セミナーにご参加いただいた方には、レポート「PURPOSE経営の実践ケース~事業としてのSDGs取組とブランディング」のダウンロードURLをお送りいたします。レポートのみご希望の方も下記セミナーお申込みリンクよりお申込みください。

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※本セミナーのお申込みにつきまして、博報堂および博報堂DY ホールディングスグループのNDA およびレギュレーションにより、セミナーのご参加をお断りさせていただく場合がございます。予めご了承ください。

 

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※1 持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。
ESG投資は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指す。特に、年金基金など大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、企業経営のサステナビリティを評価するという概念が普及し、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会(オポチュニティ)を評価するベンチマークとして、国連持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて注目されている。

※2 ジェネレーションZとは、2000年(もしくは1990年代後半)から2010年の間に生まれた世代のこと。生まれたときからインターネットが当たり前のように存在する「デジタルネイティブ」な世代である。

※3 参考文献:2020/5/10日刊工業新聞「4年で310倍!ESG投資はどこまで膨らむのか」

※4 「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル(Cannes Lions International Festival of Creativity)」は、世界にある数々の広告・コミュニケーション関連のアワードやフェスティバルの中でも、エントリー数・来場者数ともに最大規模を誇る。期間中に同時開催されるライオンズヘルスと合わせて、約100カ国から15,000人以上の来場者が集まり、全28部門(2020年は、Creative Business Transformation Lionsが新設)に40,000点を超える応募が集まり、広告を超えた様々な業界から注目されている。


※5 出所:グローバル・コンパクト・ネットワークジャパン公開資料を基にHCI作成


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