イノベーションを生み出すための、「プロジェクト」と「人材育成」を融合したアプローチ

  • 組織改革・人材育成

 

これからのコンサルティングに必要な視点とは、戦略を立案するだけではなく、それを具現化できる人材も同時に育成すること。あくまでも個人的な持論ですが、これこそが真なる成果を導くための一筋の道であると、15年以上前線でコンサルタントとして仕事をしてきた身として感じています。

では何故、それが必要だと思うのか? 大きく二つ理由があります。一つ目の理由としては、幾らコンサルティングを行っても、そこに何らかの「再現性」が伴わないと、真なる意味で、得意先企業の力に繋がっていかないからです。本来的には、コンサルタントや広告代理店がいなくなった後、似たようなテーマの取組みが発生したとき、「また同じようにコンサルを雇うのか」と言えば、(コンサル業界の商売的な視点で見るとアリという人がいるかも知れないが・・)それは全く我々の本意ではありませんし、そのような「知」として蓄積の無い「フロー」を続けていく関係は決して健全ではないと考えます。
単に商売で繋がっているだけで、関わるものに学びや向上がない関係は、結果として持続的なブランディング・パートナーシップにはなり得ません。さて皆様は、如何お考えでしょうか。

二つ目としては、そのような視点がなく、単に「成果物」だけに着目してしまうと、コンサルティング後の得意先企業による実行段階でコケるリスクが高いということです。長期にわたり、熱い議論と丁寧な合意形成を積み重ねてきたプロジェクトが大団円に終わり、「ここまで手伝ってもらったので、後は僕たちで頑張れます!見ていて下さい!」という、熱い決意表明を聞く瞬間などは、まさにコンサルタント冥利、長期間の苦労が報われる素晴らしい時間です。
まあここまではよいです。しかし、後日談を聞くと、得意先が引き継いだそのプロジェクトがものの数ヶ月で瓦解していたり、あれだけ組織横断でメンバーを選び、熱いワークショップを積み重ねて導き出した珠玉のアウトプットが、いきなり換骨奪胎の憂き目に遭っていたり、ケースとしては枚挙に暇がありません。

健全な自己否定精神の中にこそ、新しい解が見える。僕が大事にしている言葉です。先程ご紹介した、コンサル後上手く継続していかないというケース。勿論色々な要因はそこにあるとは思います。しかし、「健全な自己否定精神」に基づき、私のようなコンサルティング業界の人間が「プロジェクト」の中で出来ることはもっとあったはずでは無いか、と反省しなければ、単なる思考停止です。
私自身が、色々なプロジェクトの経験から導いた、コンサルタントとして考える「原因仮説」の一つとしては、今までコンサルティングのプロセスに、得意先メンバーの「人材育成」的な観点が無かったからなのではないかと考えています。コンサルタントが「成果物」に目を向けるのは当然ですが、あまりに視野が狭かったのではなかったのかと。勿論、色々な意見があってもいいと思います。

コンサルタントはプロジェクトが決まると、とにかく示唆に満ちた高度なアウトプットを出そうと寝食を惜しんでプロジェクトに取り組みます。そして毎回の得意先とのミーティングに全力で臨み、期待を超える成果だと評価を頂き、溜飲を下げる。これはコンサルタントとしての生き方そのものであるし、変える必要はありません。しかしこれだけで、提案したその戦略が「持続性を帯びるか」というと、やはり不十分であろうと思う。強い決意のもと、コンサルタントが実行レベルまで泥臭く、深くご支援するとしても、やはり最後の最後でその戦略、そしてブランドに「魂」を入れるのは、やはり得意先なのです。

そうなると、こういう声が業界から聞こえてきそうです。合意形成の方法が大事だ。身の丈に合った現実的なソリューションを出すことが必要だ。プロジェクトの位置づけが大事だ。プロジェクトオーナーが必要だ。その先のプロジェクトの進め方をきちんと定義することが必要だ。指標の設定が必要だと。
勿論、パーフェクトとは言わないまでも、得意先も含めて、そんなことはとっくのとうに意識はしています。全てやるという前提で、それを超えた新しいプロセスを導くべきと考えているのです。

戦略を立案し、それを具現化できる人材も同時に育成するというプロセスの提供。これがあれば、前述のような状況を避けられる「十分条件」になり得るかと言えば、これ以外の不確定要素の存在がある以上、そう言い切ることはできません。しかし、一つの「必要条件」であるということは間違いないと個人的には思います。では、その様な「人材育成」が伴う、ブランディングパートナー、博報堂コンサルティングならではのプロセスとは一体どういうものなのか。進め方は、勿論テーマによって異なります、共通して必要なエッセンスとしては、以下の5点であると考えます。

  1. 戦略の立案と具現化に必要となる「スキル」を明示化する
  2. アウトプットを出すまでの「プロセス」や「発想の視点」を提供する
  3. 得意先メンバー自らが、それらをもとに主体的に作業に取り組んで頂く
  4. アウトプットをコンサルの視点で客観的に評価差し上げ、論点を提示する
  5. 実行段階では、側方で支えるコーチとしてメンバーに示唆を提供する

勿論、既にそれを強く意識して成果を上げているコンサルタントや、プロジェクトの中で部分的に採り入れているケースはあるかもしれませんが、最初から「成果を出すと共に、メンバーに再現性のある気付きと学びをもたらすことを目的とする」という得意先とのコンセンサスのもと、実際に、プロジェクトとしての「成果物」と「人材育成」という、両方の成果を生み出せるプロセスを提供することこそ重要だと捉えます。


 


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