顧客基盤の活用とは、DMPの活用(だけ)ではない

昨今のプライベートDMPブームにのり、デジタルマーケティングにおいてパブリックDMPを活用して、よりターゲットを絞り込んだデジタルアドで成果を挙げている企業もいらっしゃることと思います。博報堂DYグループもAudience One®や生活者DMPという、サイト閲覧履歴や検索履歴などの「アクチュアルデータ」や、POS購買履歴やリサーチデータを紐付けたパブリックDMPを提供していますので、それらをご利用いただいている企業様もいらっしゃることと思います。

顧客情報の活用において、こういった顧客のアクチュアルデータと紐付を、より「買ってくれそうな」人に注力しマーケティングを行う(スコアリングとリマーケティング)、もしくは顧客と類似した人により効率的な広告を行う(拡大配信)を行っているわけですが、今回の共創マーケティングはそういったアノニマスな情報を活用したマーケティングとはすこし異なります。

ここでの「顧客基盤の活用」とは、いわゆるお名前、住所、電話番号、メールアドレスのリスト、つまり「コンタクトできるリスト」だけではなく、さらにそのお客さまと接点機会をどれだけもっているか、という企業の資産を「顧客基盤」と定義し、なにより継続的にお付き合いがあるお客様に対してのメリットをご提供することを前提にした活動を指します。

定期接点をもつ顧客基盤の活用

現在その取り組みを進めている企業として、FCチェーンの創始の一社とも言われるダスキン様をご紹介させていただきます。
ダスキン様は、清掃用具(モップやフキン、業務用では足ふきマット)のレンタルと、エアコンやお風呂・キッチンなどの水周りの清掃、そして家事のお手伝いサービスなどをFCチェーンで展開されており、これらの事業を「定期的なお届けと集金」という定期/サブスクリプションにて550万世帯の個人と130万件の法人顧客に、継続的な訪問、商品の提供をおこなっています。
ダスキン様はこれらのお客様に向け、FCザー本部として会員制度を設け、専用の情報情報ポータルサイト(DDuet)やコイン(ご利用に応じて付与される、ダスキンのサービス利用で使えるポイント制度)などを提供していました。

ダスキン様の顧客基盤の資産は2つ、

1.対面/非対面で定期的にお客様とお会いし製品をご利用いただいているお客様であり、またオンラインでもアクティブな接点を盛っていること(単純に連絡先・アドレスを持っているリストとは違う)

2.
ダスキン様の流通網(商品のお届けをする主に女性のスタッフ)が、「自分がつかってよかったものを人に紹介したい」という、いわゆる主婦の井戸端会議から拡大したこと。つまり、自分たちが使っていいものを選びたい、良かったものを人にお伝えしたい、という昨今のバイラルやSNSよりはるか前からチャネルと生業の根幹としていること

こういった資産を活用し、継続的にご利用いただくお客様にメリットをご提供しつつ、その価値を対外的に利用いただく事業ができないか、ということでいくつか取り組みを弊社と開始しました。

サンプリング&リサーチによる三方良しの関係性

まずスタートした事業が「サンプリング&リサーチ」です(2018年10月時点でテスト事業実施中)
プレゼント/トライアル品として、自社製品も含む、さまざまな各社企業の製品を試していただき、ご利用者からフィードバックをいただく、シンプルなサンプリングとリサーチの事業です。
会員向のHP上にプレゼントコーナーを設け会員に向けたサービスとして運営されていたものを拡大し、弊社がクライアント企業とおつなぎすることで、20-40代で約200万世帯、50-80代では350万世帯というダスキン様のお客様に商品やサービスをご紹介し、お試しいただく機会を提供しています。

ただのサンプリングメディアとならないために、下記のルールを前提としております。

1.どんな商品でもよいわけではない:ダスキンの理念に沿う、スタッフ・お客様が欲しいと思うものをご紹介する
2.ただ配らない。アンケート等を通じてフィードバックをいただく。お客様の反響が大きい場合、製品の共同開発・販売をご相談させていただく
3.評価が高い商品・サービスは、お客様が今後手に入れていただくための方法を、ダスキンECショップを含む様々なチャネルも含めご紹介する(必ずしもダスキンの商売にならなくてもよい)

三方良しの関係

その結果

お客様にとって : 次々とあたらしい情報やサービスを知り、またお試しする機会を
賛同される企業様にとって : 確実に属性が分かるお客様へのリーチと反応のフィードバック、そして送客される機会を
ダスキン様(顧客基盤主体企業)にとって : 自社のお客様に世の中にあるいいものをお知らせし、お届けできる機会を(結果、お取引の満足度向上を)

三方良しで実現できております。
これまでのテストフェーズでは、コンタクトレンズメーカー様のアイケアサプリ、製薬会社様の腸活サプリなどの健康食品・サプリメントや、スポーツメーカー様のアパレル、食品メーカー様の低カロリースナックやフィットネス施設様のトライアルクーポンなど、
ダスキンご利用者の年代や居住地域にあわせて、認知と試用を拡大したい多くの企業様からお問い合わせとサンプリングを実施していただいております。

※サンプリング&リサーチでは、ご参加いただく製品(サプリ・食品・生活雑貨)やサービス(フィットネスクラブのクーポン券など)を募集しております。
ご興味ございましたら下記までご連絡下さい。

取り組みの先にある顧客基盤の連携による共創マーケティング

サンプリング&リサーチは、もしダスキン様がメディア企業であれば、ありがちな広告メニューでしかありません。しかしその先でダスキン様は「顧客基盤の連携」という取り組みを進めており、その一環の活動がサンプリング&リサーチになります。
顧客基盤の連携においては、複数社同士が、それぞれの顧客基盤と接点を活用した下記のような活動を試みています。

・相互への顧客基盤の強化 / 相互利用顧客の会員登録の促進
・ご利用者へのロイヤルティプログラムの実施 / 決済連携
・相互送客を目的とした共同プロモーション

こう記載すると、機械的なキャンペーンに見えてしまいますが、取り組みゴールとしての成果目標です。
個々の施策についてお伝えしたいのですが、個別企業様との取り組みですので、申し訳ございませんがここで公表はできません。

ただ、これらの設計の中で見えてきたポイントは下記の3点です。

1点目は、顧客基盤とその共有の定義です。
メアドや電話番号リストであるコンタクトリストと、継続的な決済がある定期購入者と、継続的な接触(会話などインタラクションなやりとり)がある顧客基盤は、すべてを顧客基盤と言われがちですが、その性質は異なります。
これは、お客様側から見たその会社や製品・サービスは生活や購買のすべてではない、ということがその根底にあります。そのため、お客様との接点を顧客基盤として会社間で共有できるものは意外と限られていることを念頭に共創を設計する必要があります。

2点目は、お客様との継続的な関係性の構築をゴールにすることです。
お客様に一回買っていただく/利用していただくことと、継続的な関係性の構築とはやるべきこと、やってはならないことに大きな隔たりがあります。少なくとも共創を行う企業間でゴールのすり合わせは必須です。

3点目は、トライアンドエラーを重ねることを前提に進めることです。
いわゆる施策の成否だけではなく、顧客基盤は相互の企業にとって有限です。取り組み自体を柔軟に変えていくために、時には座組み(関与企業をもう一社増やすなど)までを想定し取り組んだほうが継続的な取り組みと成果を生みます。
予算や体制など、社内での上申・承認事項とのすり合わせの難易度は高まりますので、調整が難しい場合、前述のサンプリング&リサーチなどのスポット的な取り組みから始めることも多くあります。

自前主義とデジタル という呪縛を一度外す

これらの共創の取り組みは、現在顧客基盤をもつ企業同士、マス流通はしている(CVSやドラッグストア経由)がダイレクトでの顧客情報を持っていない企業と顧客基盤を持つ企業との取り組みなど、さまざまなパターンがあります。
特に、DMPなどによる「アドでの取り組み」がなかなか進まない、うまくいかない場合、『自前ですべて』と『デジタル=データが全てを解決する』幻想にとらわれすぎている可能性があります。
一度、それらの前提を外し、お客様は何を喜んでいただけるのか、その際の接点はオンラインオフラインを超えてどうするべきか?自社だけで難しいのであれば、誰とともに行うべきか、といった「そもそもどのような取り組みがしうるか」検討してみることも必要ではないでしょうか。

ご連絡いただけましたら、ダスキン様の取り組みや現在設計中のご紹介および、今後の取り組み方についてご相談に乗らせていただきます。

【ご相談したい・ご紹介愛用についてお知りになりたい】

ダスキン サンプリング&リサーチをご利用してみたい
→ サンプリング&リサーチ事業事務局 博報堂コンサルティング 依田まで

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→ 顧客基盤の連携・顧客基盤の共創事業開発担当 博報堂コンサルティング 清水まで

顧客基盤の活用・顧客エンゲージメントを高める顧客戦略をもっと詳しく知りたい
→ 顧客基盤を活用した事業開発 担当 博報堂コンサルティング 清水まで