ビジネスモデルという言葉の持つ意味

「ビジネスモデル」という7文字の経営用語。経営者や事業企画を担う社員に広く用いられ、よく耳にする今も尚、その記事数や論文数は増え続け、注目を集めています。
一方、これほど用途と定義が曖昧な言葉もありません。起業家が投資家から資金を集めるために、いい加減なプランに勿体を付けて、煙に巻く為の手段として用いられたこともありました。また、ビジネスモデルと競争戦略論の違いも、いまだ不明確なままです。
一言で定義するならば、「ビジネスを構成する要素の組み合わせ」がビジネスモデルであると言えます。ビジネスは、「誰に対してどんな価値を、何をどこから調達・創造して提供し、どう対価を得るのか」と表されますが、その組合せ方こそがビジネスの善し悪しを決める重要なものであり、ビジネスモデルが注目される理由なのです。

 

ビジネスモデルの変革こそが、利益創出の源泉となる

世界的工具メーカーのヒルティは、2000年に大胆なビジネスモデルの変革を行いました。通常の工具販売から「フリート・マネジメント」というリース契約制へ移行し、工具の使用料に加え、修理、代替機付与、盗難補償の費用を含めたサービスに対する定額料金制を採用しました。この変革は営業対象の変更や情報ネットワークの構築を必要としましたが、顧客の業務効率と生産性の向上に大きく寄与しました。その結果、代理店営業が主体の競合企業に対する競争優位性を獲得し、重要顧客の継続利用と利益率向上につながったのです。
このヒルティの事例からもわかるように、ビジネスモデルの変革の成否は利益創出に直結する為、事業運営や新事業検討の際の重要な検討事項となります。

 

利益を創出してきたビジネスモデルのエッセンスから、変革の方向を考える

ビジネスモデルを語るときには、時代を切り開いた革新的な企業の事例がよく取り上げられます。その為、「グーグルやアップルのような斬新なプランを考えろ」と、上司からプレッシャーをかけられた経験をお持ちの方も多くいらっしゃるかもしれません。
確かに、ビジネスモデルを変革するために、革新的な企業に学ぶことは大いにありますが、どのように参考にするべきかわかりにくいのも実情ではないでしょうか。過去に出版されたビジネスモデル本には、概念や分類、事例等は紹介されていますが、実際にどう参考にし、どうアプローチするべきかは記載されていません。
具体的にビジネスモデルの変革を考える際、有効なアプローチの一つは、利益を創出してきたビジネスモデルのエッセンスを汎用性のある形で抽出し、自社固有の課題解決に活用することです。ヒルティの事例では、課金の形態を「売り切り」から「継続課金」に変えたことがそのエッセンスと言えます。
今回、弊社では早稲田大学ビジネススクールの山田英夫教授(代表著書「なぜ、あの会社は儲かるのか?ビジネスモデル編」(日本経済新聞出版社))と共同研究を行い、多数のビジネス事例を基に、利益を創出するエッセンスを体系化しました。これらは皆様がビジネスモデルをより容易に、より効果的に構築し、変革する為の一助になると考え、これらの研究成果を書籍に纏めております。出版スケジュールが決まりましたら、またこちらのサイトにてご案内させていただきます。

(博報堂コンサルティングニュースレター 第24号掲載)