ビジョンが説得力を持って伝わることで、社内外の求心力が高まる。一般的にビジョンは、スローガン(タグライン)の形で言語化され、企業ロゴなどに付記して伝達されることが多い。ビジョンが凝縮されたキーワードを、生活者・顧客が様々な場所で目にすることで、企業のめざす理想が伝わっていく。そのためスローガンの訴求力は重要だ。そしてそれと同じ程度に重要なのが、その実現に向けた目に見えるアクションである。

アクションがスローガンとリンクすることでビジョンに説得力が生まれ、顧客の持つイメージを確立する。事業活動でビジョンが体現され、生活者や顧客がそれと実感できることが望ましいが、ビジョンは本業の数歩先を表現し企業活動を先導することを意図する性格が強いため、掲げたビジョンを本業の活動のみで実感させることは概して難しい。

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※図: 企業のブランドビジョンとキーアクション

そうしたとき、象徴的な研究開発活動や社会的取組みなどを通じてブランドを体現することが有効だ。例えばホンダは、1960年代に開始したF1活動や、ロボット開発、航空機の開発など、多くの技術的挑戦とその発信で有名である。これらの活動は、同社のブランドスローガンである「The Power of Dreams」というビジョンを象徴的に体現している。

また、「Smarter Planet」というビジョンを掲げるIBMは、都市のスマート化に貢献すべく「公共安全」「医療」「水資源」など社会テーマを切り口に提案活動を続けている。映像や雑誌等で目にし、同社に社会的イメージを持たれている人も多いだろう。

ブランドのビジョンが言語化されて世の中へ伝わり、それを体現する活動でイメージが補強される。そのイメージが生活者・顧客および社員の期待を形作り、さらなる事業を促進する。ビジョンを核としたメッセージと活動の循環が、強い企業ブランド構築の要諦である。

(日経産業新聞 2016年1月27日付朝刊 スタートアップ面「ビジネス事始め」掲載)

 
 
■成長に向けたブランド戦略(全10回) ― 連載コラム一覧

※本連載は、日経産業新聞朝刊 スタートアップ面の連載コラム「ビジネス事始め: 成長に向けたブランド戦略」の内容を転載しております。