今回は、企業のブランディングについて考えてみたい。生活者や顧客は、企業ブランドからその企業の特徴や事業姿勢、品質や便益などを認識し、製品サービスの選択基準の一つにする。企業ブランドと事業が一体となったサービス業はもちろん、様々な製品を展開する製造業でも同様である。
強い企業ブランドを築くには、事業活動とブランドコミュニケーションが整合し、首尾一貫している必要がある。そうした体系だった展開を実現する上で鍵となるのが、企業ビジョン(ブランドビジョン)だ。

ビジョンというと、抽象的かつ「絶対善」的趣の強い、事業とは距離のある存在と捉えられがちである。しかし、優れたビジョンは、事業に無視できない効果をもたらす。社内に対しては、ビジョンを通じて事業の意義を示すことで、社員のモチベーションが向上したり、全員の努力を一つの方向に向かわせ、成長を促進したりする。

また、社外に対しても、実現したい社会や新しい価値、顧客への貢献のあり方といった形で示すことで、事業や製品・サービスに対する支持と期待を獲得する。実際、大きな成長を遂げた企業には、明快で強いビジョンを掲げた企業が多い。例えばスターバックスの「サードプレイス」などはよく知られたビジョンであり、我々生活者の認識する同社のブランドの核にある概念と言える。

ブランド戦略、企業ブランドのビジョンが核となり、持続的成長を実現
※図: 企業ブランドのビジョンが核となり、持続的成長を実現

優れたビジョンは、それ自体が優れた事業コンセプトでもあり、また顧客へのブランドメッセージでもある。製品サービスの事業戦略・競争戦略を構築するだけでなく、自社の事業活動の意義・果たすべき役割を見つけ出すことは、ブランド構築においても重要な意味を持っている。

次回はビジョンを核とした企業ブランドの伝え方について考える。

(日経産業新聞 2016年1月20日付朝刊 スタートアップ面「ビジネス事始め」掲載)

 
 
■成長に向けたブランド戦略(全10回) ― 連載コラム一覧

※本連載は、日経産業新聞朝刊 スタートアップ面の連載コラム「ビジネス事始め: 成長に向けたブランド戦略」の内容を転載しております。