ブランド経営とは、単に見栄えを良くして企業イメージを向上させることではなく、ブランドの提供価値を中心に経営戦略全体を組み立てることだと繰り返し述べてきました。とはいえ、もちろんブランドの価値を目に見える形で適切に表現することも、必要不可欠であることには変わりはありません。ブランドの理念を長々と言葉で説明されるよりも、優れたクリエイティブワーク(コピーライティングやデザインなど)によって表現されたものを一目見る方が伝わりやすいということもあります。

そのようなブランド価値の具体的な表現物として、代表的な存在が広告です。ブランド経営における広告とは、ブランドの提供価値が1枚のグラフィックデザインや数十秒程度の映像作品に凝縮されたものです。優れた広告は、シンプルに見えてもその裏では緻密な戦略の上に成り立っていることが多いです。世界中で、多くの企業が多大な労力と巨額の費用をかけて広告活動に取り組んでいることからも、企業経営にとって広告がいかに重要なものであるかがわかるでしょう。

広告以外のブランド価値の表現物として、近年重要性が増しているのが企業のウェブサイトです。ただし、広告とウェブサイトで決定的に異なる点は情報の量です。
情報量の少ない広告では、ブランド価値を極限まで研ぎ澄ませてそのエッセンスのみを抽出する必要があります。そのため、多大な労力をかけたにもかかわらず、最終的に表現されるのは1枚の写真とワンフレーズのキャッチコピーのみということも少なくありません。

一方、情報量の多いウェブサイトでは、ブランド価値を詳細に語れる分、提供価値の厚みや深みまで伝えることができます。例えば広告で用いられたキャッチコピーについても、それを支える具体的な技術や競争優位性についてウェブサイト上で長文のテキストや動画などを用いて詳細に説明することが可能なのです。

経営戦略としてのブランドを推進していくには、今や広告のみならず、企業サイトを積極的に活用できるかどうかが、その成果を大きく左右するのです。

(文化通信 2014年11月24日号掲載)

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