<第8回>経営戦略としてのブランド ― ブランドのグローバル化

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近年、ブランドの世界でもグローバル化が急速に進んでいます。主な要因は、スマートデバイスやソーシールメディアなどのツールが身近になったことによって、世界規模で瞬時に情報が拡散するようになったことです。口コミが広がるスピードと範囲は、一昔前の時代からは創造もできないレベルに達しています。このことはブランドにとってチャンスでもあり同時にリスクでもあります。

チャンスとしては、市場の拡大による規模の経済性が挙げられます。製品の製造コストだけでなく、広告表現やパッケージなどの統一によるコストの効率化は非常に大きなものになります。つまり、ブランドに対する投資から期待できるリターンが大きくなるということです。逆にリスクとしては、どこかの国でブランド価値を損ねるようなトラブルが起きた場合、その情報があっという間に世界中を駆け巡ってしまう可能性があるということです。ある国のたった1人の従業員の不誠実な言動によって、ブランド自体が崩壊し、事業が立ち行かなくなることすらあり得るのです。

グローバルブランディングを行う際は、これらのチャンスとリスクの双方を踏まえて戦略を練る必要があります。ブランド戦略の方向性としては大きく分けて二つあります。一つは「自国標準化戦略」で、平たく言えば日本式をそのまま押し通すということです。もう一つは「現地適応化戦略」で、現地の事情に合わせて柔軟にブランドをカスタマイズさせるということです。

実務上はこの二つの方向性の間で落とし所を見つけることが最大のテーマとなり、ネーミング・デザイン・価格・製品仕様など、要素別に細かく検討していく必要があります。

特に自国標準化を推し進める場合は、国や地域によって、文化や宗教上の理由から思わぬネガティブイメージが生まれてしまう事も多いので注意が必要です。グローバル化の波はブランドの世界にも押し寄せており、たとえ日本市場で確固たるポジションを確立したブランドであっても望むと望まざるにもかかわらずその再定義を迫られているのです。


(文化通信 2014年9月22日号掲載)
※本連載は文化通信に寄稿した内容を転載しております。


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