グローバル市場における2つのブランド課題

今年に入り、グローバル市場におけるマーケティングやブランディングに関するお問い合わせが急増しています。テーマは2つに大別できます。

1つは、急成長するアジア市場にこれから進出したいので、具体的なマーケティング戦略、ブランド戦略について相談したいというケースです。春に発表した中期事業計画で「海外市場での成長」を目標として設定したことがキッカケで、海外進出を急遽検討することになった企業も少なくありません。新規市場導入ブランディングの課題です。

もう1つは、すでに海外市場に進出して一定の成果を上げてはいるものの、グローバルブランディングに秀でた競合企業に押され、伸び悩んでいるので相談したいというケースです。世界各国に拠点があり、共通のブランドガイドラインを作り、グローバルブランド会議を定期的に開催するなど、さまざまな取り組みを行っているものの、グローバル本社として、何をすれば競争力強化に貢献できるのかが見えず、悩んでいる企業は多いです。グローバルブランドマネジメントの課題と言えます。

現地化か?標準化か?

特に、後者のケースにおいてよく議論になるのが、現地化を推進すべきか?標準化を推進すべきか?というテーマです。

各国のマーケティング手法、ブランド活動については、現地法人・パートナーに任せるのが「現地化」志向です。海外展開の歴史が長い日本のメーカー企業では、このタイプが多く見られます。さすがに、ロゴデザイン管理については世界共通ルールを設定している企業が普通になりましたが、マーケティング活動の領域では、現地法人・パートナーの自立性を生かし任せる企業が一般的ではないかと思います。

一方で、ブランドの規定する世界観や提供価値から、具体的なマーケティング・ブランディング手法に至るまで、グローバルでの共通性を重視するのが「標準化」志向です。最も代表的な事例は、商品デザインから、店舗デザイン、人材教育、PR活動まで、全てがグローバル共通で推進されている欧米の高級ブランドですが、業種、価格帯に関わらず、ブランドに関する「標準化」を推進する企業も数多くあります。最近、成長著しい韓国の家電企業は、「標準化」を推進することで、ブランド力を急速に底上げし、高成長・高収益の原動力となっています。

グローバルブランドの軸足を決める

デジタル化、モジュール化が進む中で、現場での刷り合わせに頼る「現地化」よりも、トップダウンで戦略的に「標準化」を推進し、経営スピードと効率を高めることの方が、グローバル競争で勝ち残るための必須条件であるという見方が一般的かもしれません。しかし、私は必ずしもそうではないと考えています。「現地化」には現地化ならではのメリットがあります。弊社で推進しているグローバルブランドマネジメントの成功ケーススタディでは、いくつも「現地化」による事業成長に成功している企業があります。
大切なのは、表面的に競合企業のやり方をまねるのではなく、自社ならではの戦い方を見つけ出すことだと考えます。自社の強み、進出国のポートフォリオ、社員の気質、企業文化などを踏まえて、自社のグローバルブランドマネジメントの軸足を決めることが、はじめの一歩だと思います。

(博報堂BCニュースレター 第24号掲載)