CMOという流行語

CMO(Chief Marketing Officer)という言葉をウェブ検索すると、573万件という数の情報がヒットします(現在の首相の名前は、1370万件)。この数値は参考に留めるとして、多くの人がCMOという言葉に興味を持っている、とは言えるでしょう。
またある企業では、マーケティング部門と経営部門を融合して一つの部門にしたというような動きもあるようです。
この二つの潮流には、共通したある課題意識が存在しています。

なぜ今、CMOか?

日本企業においては、商品は営業が売るもの、という意識が非常に強く、マーケティング部門の役割が営業の支援部隊といった位置づけに限定されていることが多くあります。
一方で、”デジタル””ソーシャル””グローバル”がキーワードとなる世の中において、今まで以上に自分たちの顧客を知り、捉えることの難しさに直面しています。
このような状況下で、企業成長の為にマーケティングの役割を見直す動きが広がりつつあります。マーケティングの役割を、単なる営業支援部隊ではなく、リーダーシップを持って生活者視点で戦略を考え実行していくという、ある意味で経営そのものに近いものとしようとする動きです。
マーケティングのリーダーシップは、各機能の一貫性(商品開発、広告販促、広報、ウェブ等)に加えて、営業や各事業部への主導・調整力、経営トップ層に対するインプットの提供等広範囲の機能を果たすことで生まれます。私たちはそれを、CMO機能と呼んでいます。
いまCMOが注目されているのは、「今までのやり方ではビジネスの成果が上がらなくなってきている」ことに対して、「今までと違う、経営に資するマーケティングの在り方」が求められているからです。その実現には、会社と組織の変革が求められます。

ビジネスをマーケティングが主導する組織への改革

会社の変革とは、社員の行動そのものを変えるということに他なりません。役職を置くことや、組織の規定上の役割を変えることだけでは目的は達成できません。
ビジネスをマーケティングが主導する組織へ改革するためのポイントは3つあると考えています。

  1. 企業ビジョンに基づいた「使命」をベースに組織改革を行うこと
  2. CMO機能を持った仕組みを構築すること(連携とネットワークによる統合マーケティング)
  3. CMO機能を形骸化させないためのクリティカルファクターを押さえること

多くの日本企業では、マーケティング部門の役割が売上や予算の達成と紐づけられています。結果、視点が短期的なものに留まってしまい、中長期でのマーケティング戦略やマーケティングマネジメントを考えることができません。
数値ではなく、その組織が企業の成長の為になすべきこと=「使命」が何なのかを考えることが重要です。「使命」を一人ひとりが理解することが、社員の行動の優先順位を決定し、組織としての日々の活動を変えていきます。

そして、CMO機能をもつ仕組みを構築すること。CMOという役職者を置くことは、選択肢の一つに過ぎません。その管轄範囲が広がり、かつ専門的な技術が求められるこれからのマーケティング業務では、社内、社外の組織が有機的につながる仕組みをつくり、ネットワークと連携による統合マーケティングを実現することが求められています。

また、組織課題は企業ごとに異なり、改革を実現する為の障害も企業毎に違います。この「クリティカルファクター」が何かを踏まえて検討を進めていくことが重要になります。例えば、縦割りで連携がうまく機能しない企業では社内部署同士が定期的に集まる共有の場とKPIの設定をすることであり、マーケティングの仕事が属人的になりすぎ、配置換えの度に設計した役割がリセットされてしまうような場合には、いかに形式知としてマーケティングのノウハウを蓄積していくかがクリティカルファクターとなります。

これからの企業に求められる「経営に資するマーケティング組織」をつくるお手伝いをしてまいりたいと思います。

(博報堂コンサルティングニュースレター 第15号掲載)